メニュー

むずむず足症候群とは

むずむず足症候群は、主に夕方から夜間にかけて、脚に不快な感覚が生じ、足を動かしたくなる衝動に駆られる病気です。この不快感は、安静にしている時や横になっている時に強く現れ、体を動かすことで一時的に軽減するのが特徴です。

症状

むずむず足症候群の症状は個人差がありますが、一般的には以下のような感覚として表現されます。

  • むずむずする
  • じりじりする
  • かゆい
  • ピリピリする
  • 疼くような
  • 引っ張られるような
  • 虫が這うような

これらの不快感は、足の深い部分に感じることが多く、太もも、ふくらはぎ、足首、足の裏などに現れます。まれに腕など他の部位に起こることもあります。

主な特徴的な症状としては、以下の3つが挙げられます。

  1. 動かしたい衝動: 不快な感覚とともに、足を動かさずにはいられない強い衝動が生じます。
  2. 安静時の悪化: 座ったり横になったりして安静にしていると症状が悪化します。
  3. 運動による軽減: 歩いたり、足をさすったり、ストレッチをしたりすることで症状が一時的に軽減します。
  4. 夜間の悪化: 夕方から夜間にかけて症状が出やすく、睡眠を妨げることが多いです。

これらの症状により、入眠困難や中途覚醒を引き起こし、日中の眠気、集中力低下、疲労感、抑うつなどの二次的な問題が生じることもあります。

原因

むずむず足症候群の正確な原因はまだ完全には解明されていませんが、以下の要因が関与していると考えられています。

鉄欠乏: 脳内の神経伝達物質であるドーパミンの合成に必要な鉄が不足することで、神経機能に異常が生じると考えられています。

ドーパミン系の異常: ドーパミンは運動や快感に関わる神経伝達物質であり、むずむず足症候群の患者さんではドーパミン系の機能低下が指摘されています。

遺伝的要因: 家族内発症が多いことから、遺伝的な関与も示唆されています。特定の遺伝子変異との関連も研究されています。

  • 妊娠: 妊娠中にむずむず足症候群を発症または悪化させる女性がいます。出産後に改善することが多いですが、原因は明確ではありません。
  • 慢性疾患: 腎不全、糖尿病、関節リウマチ、末梢神経障害などの慢性疾患を持つ人に、むずむず足症候群の合併が多いことが知られています。
  • 特定の薬剤: 抗ヒスタミン薬、抗うつ薬、制吐剤など、特定の薬剤が症状を悪化させることがあります。

診断

むずむず足症候群の診断は、主に患者さんの訴える症状に基づいて行われます。国際むずむず足症候群研究グループ(IRLSSG)が提唱する診断基準が用いられます。

  1. 足を動かしたいという強い衝動があり、通常または不快な感覚を伴う、あるいはそれによって生じる。
  2. その衝動は、安静にしている時や休んでいる時に始まり、悪化する。
  3. その衝動は、運動によって部分的または完全に軽減する。ただし、軽減効果は運動を続ける限り続く。
  4. その衝動は、日中よりも夕方または夜間に悪化する、あるいは夕方または夜間にのみ起こる。
  5. 上記の症状は、他の医学的または行動的状態によっては説明されない。

詳細な病歴の聴取や神経学的検査が行われることがあります。また、鉄欠乏の有無を確認するために血液検査が行われることもあります。睡眠ポリグラフ検査(PSG)は、周期性四肢運動(睡眠中に足がピクつく動き)の有無を確認するために行われることがあります。

治療

むずむず足症候群の治療は、症状の程度や原因によって異なります。

非薬物療法

  • 生活習慣の改善:
    • 規則正しい睡眠を心がける。
    • カフェイン、アルコール、ニコチンの摂取を控える(特に就寝前)。
    • 適度な運動を習慣にする(ただし、激しい運動は就寝前は避ける)。
    • 就寝前のリラックスできる習慣を作る(入浴、ストレッチ、読書など)。
  • 症状緩和のための工夫:
    • 足をマッサージする。
    • 温めたり冷やしたりする。
    • 足を高くして寝る。
    • 症状が出た時に歩き回る、足を動かす。

薬物療法

症状が日常生活に支障をきたす場合は、薬物療法が検討されます。主に以下のような薬剤が用いられます。

  • ドーパミンアゴニスト: ドーパミン受容体を刺激し、神経伝達を改善します。
  • α2δリガンド: カルシウムチャネルに作用し、神経の過剰な興奮を抑えます。
  • 鉄剤: 血液検査で鉄欠乏が認められる場合に用いられます。
  • ベンゾジアゼピン系薬剤: 睡眠導入作用や抗不安作用があり、睡眠障害を伴う場合に用いられることがあります。
  • オピオイド: 他の薬剤で効果が得られない重症例で使用されることがあります。

薬物療法は、副作用のリスクもあるため、医師の指導のもとで慎重に行う必要があります。

日常生活での注意点

  • 症状を記録し、医師に伝えることで、より適切な治療につながります。
  • 自己判断で市販薬を使用したり、民間療法に頼ったりせず、必ず医師に相談してください。
  • 症状が改善しても、医師の指示なしに薬を中止しないようにしましょう。

むずむず足症候群は、睡眠の質を低下させ、日常生活に大きな影響を与える可能性があります。適切な診断と治療を受けることで、症状をコントロールし、快適な生活を送ることが期待できます。気になる症状があれば、早めに医療機関を受診することをおすすめします。

よかったらシェアしてください!
  • URLをコピーしました!