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流行している百日咳とは

百日咳(ひゃくにちせき)は、百日咳菌(Bordetella pertussis)によって引き起こされる呼吸器感染症です。この病気は、特に乳幼児や小さな子供にとって危険であり、重症化することがありますが、成人にも感染することがあります。百日咳の特徴的な症状として、激しい咳が続くことが挙げられます。これが名前の由来にもなっていますが、百日(長期間)続く咳というわけではなく、発症から数週間にわたって症状が続くことからそう呼ばれます。

百日咳の主な症状

  1. 初期症状(1~2週間)
    • 風邪のような症状(軽い咳、鼻水、軽い喉の痛み、微熱)から始まることが多いです。
  2. 激しい咳(2~6週間)
    • 咳がひどくなり、特に夜間に咳が止まらなくなります。
    • 咳の後に「ヒューッ、ヒューッ」と呼吸困難な音(吸気時の喘鳴)が聞こえることが特徴です。
    • 激しい咳によって嘔吐や顔が赤くなることもあります。
  3. 回復期(数週間~数ヶ月)
    • 咳の頻度は減少し、回復が始まりますが、完全に回復するまでには数ヶ月かかることもあります。

感染経路

百日咳は、感染者の咳やくしゃみから飛沫が飛ぶことで感染します。非常に感染力が強く、特に密閉された空間では感染が広がりやすいです。

治療法

百日咳は、早期に診断され、抗生物質(例えばエリスロマイシンやアジスロマイシン)で治療することが一般的です。抗生物質は、症状の軽減や感染の広がりを防ぐのに役立ちますが、発症からしばらく時間が経過した後では、咳の改善には効果が薄くなります。

予防

百日咳にはワクチンがあります。日本では、三種混合ワクチン(DPTワクチン)により予防が可能で、通常は子供が数回接種することになります。また、大人でも感染が広がらないように、特に新生児と接する場合には予防接種が推奨されています。

重症化のリスク

乳幼児や未接種の子供は特に重症化しやすいです。場合によっては、肺炎や脳の障害を引き起こすこともあります。成人でも咳の症状が長引くことがあり、特に高齢者や免疫力が低下している人々では注意が必要です。

現在、百日咳が流行している理由は、いくつかの要因が考えられます。主な理由としては以下の点が挙げられます。

1. ワクチン接種率の低下

百日咳は、予防接種によって予防可能な病気です。特に乳幼児に対して定期的にワクチンが接種されることが重要ですが、近年、一部の国や地域でワクチン接種率が低下していることがあります。ワクチンを受けていない、または適切に接種を完了していない人々が増えると、免疫のない人が増え、感染が広がるリスクが高まります。

2. 免疫の効果が減少

百日咳に対する免疫は、時間が経つにつれて徐々に低下します。予防接種を受けた人でも、年月が経つと免疫力が減少し、再度感染することがあります。特に成人や思春期の人々において、免疫が低下している場合、百日咳にかかるリスクが高まります。そのため、成人や子供でも新たに感染が広がる原因となっています。

3. ワクチンの効果の変化

百日咳ワクチンの効果が時間とともに低下している可能性も指摘されています。特に、過去に使用されていた細胞性ワクチン(DPTワクチン)に比べて、新しいワクチン(DTaPワクチン)はやや免疫の持続期間が短いとされています。このため、一定の年齢になると免疫が弱くなり、再感染のリスクが高まることがあります。

4. 感染源の増加

百日咳は、感染者が咳やくしゃみをすることで飛沫感染します。そのため、密閉された空間や人が集まる場所では感染が広がりやすいです。特に都市部や人が密集する場所で流行することがあります。

5. 症状の認識不足

百日咳の初期症状は風邪に似ているため、最初は気づかれないことが多いです。そのため、症状が悪化するまで病気が見過ごされ、感染が広がってしまうことがあります。特に成人においては、軽症のままで済んでしまうことが多く、感染が広がる原因となります。

6. 新型コロナウイルスの影響

新型コロナウイルスのパンデミックによって、社会全体が健康への警戒感を強めましたが、一部では予防接種に対する関心が低下したり、医療体制が逼迫したことで予防接種が遅れたりした場合もあります。また、コロナ禍の影響で他の感染症の予防が後回しにされることもあり、その結果として百日咳などの感染症が再び流行することがあります。

これらの要因が重なって、百日咳の流行が続いていると考えられています。予防接種を受けることが最も効果的な対策ですが、大人も含めて定期的なワクチン接種や、早期の症状認識が大切です。

流行の状況は地域によって異なる場合もあるので、もし周囲で流行している場合は、医療機関での相談や適切な対策が必要です。

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