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めまいの原因とその治療

めまいは、多くの人が一度は経験する不快な症状で、生活の質を大きく左右することがあります。立ち上がったときにふわっと感じる軽いめまいから、歩行が困難になるほど強い回転性のめまいまで、その症状はさまざまです。めまいの原因は内耳や脳の障害、血圧や血糖の変動、薬の副作用など多岐にわたり、自己判断で放置すると転倒や日常生活の支障につながることがあります。

本記事では、めまいの種類や原因、受診の目安、セルフケアのポイントなどをわかりやすく解説します。めまいが起こったときに「原因を知る」「適切に対応する」「必要な場合は医療機関で診てもらう」というステップを理解することで、症状の悪化を防ぎ、安全に生活するための知識を身につけることができます。

目次

耳の異常

耳の異常によって起こるめまいは、主に内耳の平衡感覚を司る器官の障害が原因です。内耳には、三半規管や前庭、蝸牛などがあり、体の傾きや頭の動きを感知してバランスを保っています。ここに異常が生じると、体や周囲の環境の感覚情報が脳に正しく伝わらず、回転性のめまいやふわふわした感覚などの症状が現れます。

代表的な疾患には、良性発作性頭位めまい症(BPPV)があります。これは、内耳の耳石が本来の位置からずれ、頭を動かすたびに三半規管を刺激して強い回転性めまいを引き起こします。めまいは数秒から数十秒続き、吐き気を伴うこともありますが、耳鳴りや難聴は通常ありません。

また、メニエール病は、内耳のリンパ液の循環異常により発症する疾患で、回転性めまいに加えて、耳鳴りや難聴、耳の圧迫感が特徴です。発作は数分から数時間続くことがあり、繰り返すことで聴力低下が進行することもあります。さらに、突発性難聴や内耳炎でもめまいが伴うことがあり、耳の異常が全身の平衡感覚に影響することがわかります。

耳の異常によるめまいは、頭位や耳の動きで誘発されることが多く、回転性の強い症状が特徴です。症状が強い場合や繰り返す場合は、耳鼻科での診察と聴力検査、平衡機能検査が必要です。適切な診断と治療により、薬物療法やリハビリ、耳石の位置を戻す理学的治療などで症状を改善することが可能です。

脳の異常

脳が原因によるめまいは、脳や脳幹、脳血管の障害によって平衡感覚の情報処理がうまくいかずに起こる症状です。内耳の異常と異なり、回転性だけでなく、ふらつきやバランス感覚の喪失、歩行困難など多様な症状が見られることがあります。脳がめまいの原因となる場合は、しばしば他の神経症状を伴うのが特徴です。

代表的な原因としては、脳卒中(脳梗塞・脳出血)があります。特に脳幹や小脳に血流障害が起こると、めまいやふらつき、手足のしびれ、言語障害、視覚異常などが同時に現れることがあります。発症は突然で、症状が急激に悪化する場合は救急対応が必要です。

また、脳腫瘍や脳炎、脱髄疾患でもめまいが起こることがあります。これらは進行性に症状が現れたり、頭痛や吐き気、意識障害を伴ったりすることがあり、持続的または反復性のめまいとして現れることがあります。加えて、片頭痛に伴うめまいもあり、頭痛とともにふらつきやめまいが数分から数時間続く場合があります。

脳が原因のめまいは、単独ではなく手足のしびれ、ろれつが回らない、視覚障害などの神経症状を伴うことが多く、発症の仕方や経過が耳の異常によるめまいとは異なる点が特徴です。症状が突然強く出る場合や、進行性・繰り返しのあるめまいは、脳の異常が隠れている可能性があるため、神経内科や脳神経外科での早期診断が重要です。画像検査や神経学的評価により原因を特定し、必要に応じて治療やリハビリを行うことで、症状の改善や再発予防につなげることができます。

血圧や血流の異常

血圧とめまいの関係は、血流の変化が脳への酸素供給に影響することで現れます。低血圧の場合、脳に十分な血液が届かず、立ち上がったときや長時間の起立時にふらつきやクラッとする立ちくらみ(起立性めまい)が起こりやすくなります。脱水や過度のダイエット、薬の影響などで血圧が急激に下がると症状が顕著になります。

一方、高血圧もめまいの原因になることがあります。血圧が極端に上昇すると、脳の血管に負担がかかり、頭痛やふらつき、耳鳴りを伴うことがあります。また、高血圧は脳卒中や一過性脳虚血発作のリスクを高め、これらがめまいとして現れることもあります。

つまり、血圧の急激な変動や慢性的な異常は、めまいの原因になりうるため、ふらつきや立ちくらみが続く場合は血圧測定と医師の診察を受けることが重要です。

貧血

貧血によるめまいは、血液中の赤血球やヘモグロビンが不足することで脳への酸素供給が不十分になり、ふらつきやクラッとするめまいとして現れる症状です。貧血の原因は鉄欠乏性貧血、ビタミンB12欠乏、慢性疾患に伴う貧血などさまざまですが、いずれも酸素運搬能力の低下が共通点です。

貧血によるめまいは、特に立ち上がったときや急に体位を変えたときに強く感じることが多く、動悸や息切れ、顔色不良を伴うこともあります。重度の貧血では日常生活にも支障をきたし、倦怠感や集中力低下を伴う場合もあります。

診断には血液検査が必要で、赤血球数、ヘモグロビン濃度、フェリチン値などを確認します。治療は原因に応じて行われ、鉄剤やビタミンB12、葉酸の補充、場合によっては輸血が行われることもあります。貧血によるめまいは早期に原因を特定し、適切な治療を行うことで改善が期待できる症状です。

薬の副作用

特定の薬が原因でめまいが起こる場合があります。降圧剤や安定剤、睡眠薬などの一部の薬にはめまいが副作用として現れることがあるため、服用中の薬に関しては医師に相談することが大切です。

これらが原因で起きるめまいの治療に使われる薬にはいくつかの種類があります。具体的な薬の選択は、めまいの原因や症状の重さによって異なります。以下は、一般的に使用される薬のタイプです。

めまいの薬

1. 抗めまい薬

抗めまい薬は、めまいの症状を和らげるために使用される薬で、主に内耳や中枢神経の働きを調整することで、平衡感覚の異常によるふらつきや回転性めまいを軽減します。代表的な薬には、抗ヒスタミン薬(セチリジン、ジフェンヒドラミンなど)や抗コリン薬、カルバノン酸系薬があります。

これらの薬は、乗り物酔い、良性発作性頭位めまい症、メニエール病などで用いられることが多く、吐き気や嘔吐を伴う場合にも効果があります。ただし、症状を一時的に抑えるものであり、原因を根本的に治療するものではありません。

副作用としては、眠気、口渇、めまいの悪化などが報告されるため、服用時は車の運転や機械操作に注意が必要です。抗めまい薬は、医師の指導のもと、症状や原因に応じて適切に使用することで、生活の質を改善するための有効なサポートとなります。

2. 抗ヒスタミン薬

抗ヒスタミン薬は、内耳や中枢神経のヒスタミン受容体に作用し、めまいや吐き気を抑える薬です。特に、乗り物酔いや良性発作性頭位めまい症、メニエール病などの症状に使用されます。ヒスタミンは平衡感覚の情報伝達にも関わるため、過剰な刺激を抑えることでふらつきや回転性のめまいを軽減します。

代表的な薬には、ジフェンヒドラミン、セチリジン、メクリジンなどがあります。内服薬として使用され、症状の急性期に効果を発揮することが多いです。

副作用としては、眠気、口渇、めまいの悪化などが報告されており、特に高齢者では注意が必要です。また、運転や機械操作など注意力を要する作業は控えることが推奨されます。抗ヒスタミン薬は、原因治療と併用して症状を和らげる補助的役割として活用されます。

3. ベンゾジアゼピン系

ベンゾジアゼピン系薬は、中枢神経に作用して神経の興奮を抑えることで、めまいや不安感を和らげる薬です。めまいが強く不安や緊張を伴う場合に使用されることがあり、特に内耳性めまいの補助治療として有効です。代表的な薬には、ジアゼパムやクロナゼパムなどがあり、短期的な使用で症状の改善が期待できます。ただし、眠気やふらつき、依存のリスクがあるため、長期使用は避け、医師の指導のもとで慎重に使用することが重要です。

4. 利尿薬

利尿薬は、体内の水分量を調整することで、内耳のリンパ液の圧力を下げ、めまいを軽減する目的で用いられる薬です。特に、メニエール病などで内耳の水分バランス異常が原因と考えられる回転性めまいに効果があります。代表的な薬には、アセタゾラミドやヒドロクロロチアジドなどがあります。服用により内耳のリンパ液の過剰を抑え、めまいの発作を予防する役割があります。ただし、脱水や電解質異常の副作用があるため、医師の指導のもとで使用し、定期的な血液検査が推奨されます。

5. 抗めまい剤の静注薬

急性の重篤なめまいに対して、病院で点滴や注射として使用されることがあります。ベタヒスチン(メリスロン)、ジアゼパムの注射が代表的です。

6. ビタミンB12などのサプリメント

ビタミン欠乏が原因である場合には、ビタミン剤が使用されることもあります。

一般的には、1の抗めまい薬が処方されることが多いです。しかしどの薬が最適かは、めまいの原因と患者の全体的な健康状態によって異なりますので、医師に相談することが重要です。


ではめまいを自覚したときに、何科を受診すればよいでしょうか。

耳鼻科(耳鼻咽喉科)
→ めまいの原因の中で最も多い「良性発作性頭位めまい症(BPPV)」「前庭神経炎」「メニエール病」などは、耳の平衡機能の障害によるものです。めまいの正常はグルグル回る感じ、随伴症状が耳閉感、耳鳴りがあるときは特に耳鼻科が適しています。

脳神経内科、脳神経外科
→ 脳の障害(脳卒中、小脳疾患)が原因の場合。ふらつき、姿勢の不安定さ、ろれつが回らない、手足のしびれなどの神経症状がある場合は、これらの科が適しています。

内科やかかりつけ医
→ 高血圧、脱水、貧血、低血糖、更年期障害など内科的原因もあります。
特に症状がはっきりしない場合や、複数の病気の可能性がある場合は、内科から始めて適切な専門科に紹介してもらうのが良いです。

すぐに救急外来を受診したほうが良い症状

  • 突然の激しいめまい+嘔吐
  • 意識障害
  • 手足の麻痺やしびれ
  • 言葉が出にくい・ろれつが回らない
  • 歩けない、転倒してしまう

これらは脳卒中を強く示唆する所見なので、たとえ夜間であっても救急車を呼ぶべきでしょう。


必要であれば、症状に応じた科への紹介状を書いてもらえる総合診療科や地域の内科クリニックでも大丈夫です。ご不安があれば、症状を教えていただければ具体的なアドバイスも可能です。

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