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流行している百日咳とは

百日せきは、百日咳菌によって引き起こされる急性の呼吸器感染症です。主に乳幼児や未接種者が重症化しやすい病気として知られています。名前の由来は、感染後に長期間続く激しい咳が特徴で、特に発作性の咳が夜間や就寝時に悪化し、「百日咳」と呼ばれるようになりました。

百日咳の主な症状

百日せきの症状は、感染から数週間にわたる特徴的な経過を示します。感染初期は、風邪に似た症状が現れることが多く、発熱は軽度またはほとんどないこともあります。最初の1〜2週間は、くしゃみ、鼻水、軽い咳、微熱などが見られ、乳幼児や成人の感染者とも区別がつきにくい時期です。この段階では、診断は困難で、他の上気道感染症と誤診されることがあります。

感染が進むと、咳の性状が次第に典型的になります。特徴的なのは発作性咳嗽で、連続して咳が出る発作が繰り返され、咳の最後には吸気時に「ヒュー」と音がする笛のような呼吸音(whoop音)が現れることがあります。この咳発作は夜間に強く出ることが多く、1回の発作で息ができなくなるほど強く、嘔吐や顔面蒼白を伴う場合もあります。乳幼児では、このwhoop音が必ずしも現れず、無呼吸発作やチアノーゼとして症状が出ることがあり、重症化しやすい点に注意が必要です。

成人や思春期以降の感染者では、whoop音は出ないことが多く、長期間にわたる空咳が主な症状となります。そのため、長引く咳だけで百日せきを疑うケースもあります。発作の合間には比較的元気で、症状が一見軽く見えることも特徴です。

さらに、症状は典型的に三段階に分かれます。①初期(カタル期)風邪様症状、②中期(痙咳期)発作性咳嗽、whoop音、嘔吐、③回復期(回復期)咳は徐々に減少するが数週間続くことがあります。合併症としては、乳幼児での肺炎、脳症、無呼吸発作などが報告されており、特に乳児では注意が必要です。

百日せきは感染力が強く、症状の進行が徐々に典型化するため、咳の特徴と経過を把握することが早期診断の鍵となります。

感染経路

百日咳は、百日咳菌によって引き起こされる感染症で、主に飛沫感染が感染経路の中心です。咳やくしゃみ、会話の際に放出される微小な唾液の飛沫を他人が吸い込むことで感染します。また、感染者が触れた物品を介して手から口や鼻に菌が入る接触感染もまれに報告されています。

感染力は非常に強く、免疫のない乳幼児や未接種者では家庭内や保育園、学校などの密集環境で容易に広がります。潜伏期間は一般的に7〜10日ですが、2週間程度まで延びることもあります。感染初期は風邪に似た症状(鼻水、軽い咳、発熱)があり、この時期からすでに周囲に感染させる可能性があります。症状が本格的な咳発作に進むころには、感染力はやや低下しますが、適切な隔離やワクチン接種により感染拡大を防ぐことが重要です。

治療法

百日咳の治療は、早期の抗菌薬療法と症状に対する支持療法を組み合わせることが基本です。百日咳は百日咳菌による感染症で、初期には風邪に似た症状(鼻水、軽い咳、微熱)が現れます。この時期に抗菌薬を投与することで、症状の悪化を抑え、周囲への感染拡大も防ぐことが可能です。主に用いられる抗菌薬はマクロライド系(アジスロマイシン、クラリスロマイシン、エリスロマイシン)で、年齢や既往症に応じて選択されます。妊婦や乳児の場合は用量や薬剤の安全性に注意が必要です。

症状が咳発作期に入ると、抗菌薬の効果は症状改善よりも感染拡大の抑制が主目的となります。咳発作は数週間から数か月続くことがあり、特に乳幼児では呼吸困難や嘔吐を伴う場合があるため、入院管理が必要なこともあります。この期間は水分補給や栄養管理を十分に行い、疲労や酸素欠乏を防ぐことが重要です。また、夜間の咳発作で眠れない場合には、環境を整え安静を保つことも支持療法の一環となります。

さらに、百日咳は感染力が高いため、家庭内や保育園・学校では隔離やマスク着用が推奨されます。未接種者や免疫が不十分な乳幼児は特に重症化しやすく、ワクチン接種(DPTワクチン)による予防が最も有効です。成人でもブースター接種で感染リスクを減らすことが可能です。全体として、百日咳の治療は抗菌薬による早期対応と、症状に応じた安全管理・支持療法を組み合わせることで、重症化や合併症を防ぎつつ感染拡大を抑えることが目標となります。

予防

百日咳(Pertussis)の予防法の中心はワクチン接種です。乳幼児期には、DPTワクチン(ジフテリア・百日咳・破傷風混合ワクチン)が定期接種として行われ、初回3回の接種に加え、1歳前後の追加接種で十分な免疫を獲得します。さらに、小学校入学前には追加(ブースター)接種が推奨され、免疫の持続を助けます。成人や妊婦でもブースター接種が有効で、特に妊婦が接種することで生まれてくる乳児への母体由来免疫が得られ、重症化を防ぐ効果があります。

ワクチン以外の予防策としては、感染者との接触回避やマスク着用、手洗いの徹底が重要です。百日咳は飛沫感染が主な経路であり、咳やくしゃみで周囲に広がるため、家庭や保育園、学校などの密集環境での感染防止が求められます。また、症状がある場合は登園・登校を控え、適切な隔離期間を守ることが推奨されます。全体として、百日咳の予防は定期接種と追加接種による免疫獲得が最も効果的であり、日常生活では手洗いやマスク、感染者との距離確保などを組み合わせることで、重症化や感染拡大を防ぐことができます。特に乳幼児や免疫が不十分な人への感染予防が重要です。

重症化のリスク

百日咳は多くの場合軽症で経過しますが、特に乳幼児や高齢者、免疫が不十分な人では重症化するリスクがあります。乳児は気道が狭く呼吸筋も未発達なため、咳発作による呼吸困難や低酸素血症を起こしやすく、場合によっては入院が必要になることがあります。また、咳が強く続くことで嘔吐や脱水、体重減少を伴うこともあり、栄養管理や水分補給が不可欠です。未接種や不完全接種の乳児は、特に感染後の重症化リスクが高く、合併症として肺炎や脳症が生じる可能性もあります。

成人や高齢者でも、基礎疾患がある場合は咳発作による呼吸器合併症や心不全の悪化に注意が必要です。免疫力の低下した人や妊婦では、症状が長引いたり、感染が家族や周囲の乳幼児に広がるリスクもあります。重症化の兆候としては、咳発作中の呼吸停止、チアノーゼ、持続的な高熱などがあり、これらが見られた場合は迅速な医療介入が必要です。

重症化リスクを下げるためには、乳幼児期のワクチン接種の完了が最も重要であり、成人もブースター接種で免疫を補強することが推奨されます。また、家庭や集団生活の場での感染予防策(マスク、手洗い、症状時の隔離)を徹底することが、重症化や合併症の発生を防ぐ鍵となります。

流行する時期、季節

百日咳は、年間を通して発生する感染症ですが、流行のピークには季節性が見られることがあります。日本や北半球では、一般的に春から初夏(3〜6月)にかけて患者が増加する傾向が報告されています。この時期は、気温や湿度の変化によって飛沫感染が広がりやすく、学校や保育園などの集団生活の場で感染が拡大しやすいため、注意が必要です。地域や年によっては秋や冬にも散発的な流行が見られることがあります。

百日咳は潜伏期間が7〜10日程度と比較的長く、初期には風邪に似た症状(鼻水、軽い咳、微熱)が現れるため、流行期には軽症者が知らずに周囲に感染を広げることがあります。特に免疫の十分でない乳幼児や高齢者が集まる環境では、数人の感染者から家庭内や施設内でクラスター感染が発生することもあります。

流行期の予防としては、乳幼児への定期ワクチン接種を完了させることが基本であり、成人でもブースター接種を受けることで免疫を維持できます。また、咳やくしゃみがある人はマスクを着用し、手洗いや換気を徹底することが重要です。学校や保育園では症状がある場合の登校・登園制限や、集団生活での感染対策が流行を抑える鍵となります。全体として、百日咳は季節性のある感染症であることを意識し、特に春先から初夏にかけての予防と早期対応が重要です。

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