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私は血圧が高い?血圧が高くなる原因、実は色々あります。

目次

1. 高血圧とは

高血圧とは、血液が血管にかける圧力が慢性的に高い状態を指します。通常、血圧は収縮期血圧120mmHg前後、拡張期血圧80mmHg前後が正常とされますが、これを超えて持続的に高い状態が続くと高血圧と診断されます。原因には、遺伝や加齢、塩分の摂りすぎ、肥満、運動不足、ストレスなどがあります。高血圧自体は自覚症状がほとんどありませんが、放置すると心臓病、脳卒中、腎臓病など重篤な合併症を引き起こすリスクが高まります。診断は複数回の血圧測定や家庭での血圧測定で行われ、治療は生活習慣の改善(減塩、運動、体重管理、禁煙)や、必要に応じて降圧薬によって血圧をコントロールすることが基本です。

高血圧の分類(診断基準)

高血圧の診断には、診察室血圧(病院で測る血圧)と家庭血圧(自宅で測る血圧)の両方が用いられます。

血圧は測定する環境によって値が異なることがあり、特に診察室血圧と家庭内血圧には明確な違いがあります。診察室血圧は、医師や看護師の前で測定される血圧であり、緊張やストレスの影響で普段より高く出ることがあります。これを「白衣高血圧」と呼び、特に医療機関での測定だけでは本来の血圧状態を正確に反映しない場合があります。逆に、診察室での血圧が正常でも、日常生活では血圧が高い状態が続く「仮面高血圧」も存在します。

一方、家庭内血圧は、日常生活のリラックスした環境で自分自身が測定する血圧です。通常、朝起床後や就寝前など決まったタイミングで測定することで、長期間にわたる血圧の平均値を把握することが可能です。家庭内血圧は、診察室血圧よりやや低めに出ることが多く、生活習慣の改善や治療効果の評価にも役立ちます。また、家庭血圧を記録することで、医師がより正確に高血圧の診断や薬物調整を行いやすくなります。

分類診察室血圧(mmHg)家庭血圧(mmHg)
正常血圧収縮期(上)120未満 かつ 拡張期(下)80未満収縮期(上)115未満 かつ 拡張期(下)75未満
正常高値血圧収縮期120~129 かつ 拡張期80未満収縮期115~124 かつ 拡張期75未満
高値血圧(前高血圧)収縮期130~139 または 拡張期80~89収縮期125~134 または 拡張期75~84
高血圧(治療対象)収縮期140以上 または 拡張期90以上収縮期135以上 または 拡張期85以上

※ 家庭血圧の方が診察室血圧より低くなる傾向があります。

2. 高血圧の診断と検査

① 診断の流れ

高血圧の診断は、まず医師による問診と身体診察から始まります。生活習慣や家族歴、既往症の確認に加え、頭痛やめまい、動悸などの自覚症状の有無も評価されます。その後、血圧測定を行います。診察室での測定は1回だけでなく、複数回にわたり安静時に測定して平均値を確認します。

診察室血圧だけでは正確な評価が難しい場合、家庭血圧の測定が推奨されます。朝起床後や就寝前に一定条件で測定し、数日~数週間記録することで、日常生活における血圧の平均値を把握できます。また、必要に応じて24時間血圧モニターで日中〜夜間の血圧変動を評価することもあります。

さらに、血液検査や尿検査、心電図、心エコーなどを行い、高血圧による臓器障害の有無を確認します。これにより、心臓、腎臓、血管への負担や合併症のリスクを評価し、治療方針を決定します。診断は、複数回の測定結果と臓器評価を総合して行われます。


② 高血圧の検査

血液検査・尿検査で腎機能(クレアチニン、eGFR)、血糖、脂質、電解質の状態を評価します。これにより、高血圧が引き起こす臓器障害や、糖尿病・脂質異常症などの合併症リスクを確認できます。また、心電図や心エコーによって心肥大や不整脈の有無を調べることもあります。さらに、必要に応じて眼底検査で網膜の血管変化を評価し、脳や心臓、腎臓への影響を間接的に確認することもあります。

また、原因不明の高血圧が疑われる場合は、ホルモン検査や画像検査(腎臓・副腎CTなど)を行い、二次性高血圧の可能性を評価します。二次性高血圧は治療方針が異なるため、正確な診断が重要です。

これらの検査結果を総合して、高血圧の診断、重症度、合併症リスク、治療方針を決定します。特に家庭血圧やABPMによる日常の血圧評価は、生活習慣改善や薬物治療の効果判定にも役立ちます。高血圧は自覚症状が乏しいことが多く、定期的な検査と評価が早期予防の鍵となります。


3. 高血圧の治療

高血圧の治療には、生活習慣の改善と薬物療法の2つのアプローチがあります。

① 生活習慣の改善(非薬物療法)

高血圧の軽症例(収縮期140未満)では、まず生活習慣の改善を行います。

高血圧の非薬物治療は、生活習慣の改善を中心に血圧を下げ、心血管疾患のリスクを減らすことを目的としています。まず基本となるのは食事の改善で、塩分摂取を1日6g未満に制限することが推奨されます。また、野菜や果物を多く摂取し、カリウム、カルシウム、マグネシウムを意識したバランスの良い食事を心がけます。アルコール摂取は控えめにし、過剰な飲酒は避けることが重要です。

次に運動習慣の確立です。ウォーキングや軽いジョギング、水泳などの有酸素運動を週に150分程度行うことで、血圧の安定や体重管理に効果があります。さらに、体重管理も重要で、BMIを適正範囲内に保つことが血圧の低下につながります。禁煙も非薬物治療の一環で、喫煙は血管の収縮や動脈硬化を進行させるため、高血圧管理には不可欠です。また、ストレス管理や十分な睡眠も血圧安定に寄与します。リラクゼーションや趣味、規則正しい生活リズムを意識することが大切です。

これらの生活習慣改善は、軽度の高血圧であれば血圧を正常範囲に戻すことも可能であり、薬物治療と併用することでより効果的に血圧管理が行えます。


② 薬物療法

生活習慣の改善だけで血圧が十分に下がらない場合や、収縮期血圧が160以上の場合は薬物療法を開始します。

主要な降圧薬の種類と作用

薬の種類代表薬作用
Ca拮抗薬アムロジピン、ニフェジピン血管を拡張して血圧を下げる
ARB(アンジオテンシンⅡ受容体拮抗薬)ロサルタン、テルミサルタン血管を拡張し、心臓や腎臓を保護
ACE阻害薬エナラプリル、リシノプリル血管を拡張し、心臓負担を軽減
利尿薬ヒドロクロロチアジド、スピロノラクトン余分な塩分と水分を排出し血圧を下げる
β遮断薬ビソプロロール、アテノロール心拍数を抑えて血圧を下げる

高血圧の薬物治療では、患者の血圧の程度や合併症の有無、年齢、生活習慣に応じて薬剤を選択します。まず、単剤で十分な効果が期待できる軽度の高血圧では、カルシウム拮抗薬(CCB)やACE阻害薬、ARB、利尿薬などから選ばれることが多いです。カルシウム拮抗薬は血管を拡張させ、心臓への負担を減らす作用があります。ARBやACE阻害薬は腎臓や心臓への保護効果があり、特に糖尿病や蛋白尿がある患者に適しています。

中等度〜重度の高血圧や、単剤で十分に血圧が下がらない場合は、複数薬剤の併用療法が検討されます。併用する際は、作用機序の異なる薬を組み合わせることで相乗効果が得られ、副作用を最小限に抑えることが可能です。

さらに、高齢者や腎機能低下、妊娠中などの特別な状況では薬剤選択に注意が必要です。例えば妊婦にはACE阻害薬・ARBは避け、代わりにメチルドパやカルシウム拮抗薬が使用されます。最終的には、医師が血圧の目標値や患者の全身状態を考慮して、個別に薬剤を決定します。


4. 高血圧の合併症

高血圧は自覚症状が少ない一方で、放置すると心臓、脳、腎臓、血管など全身に深刻な合併症を引き起こすリスクがあります。まず心臓への影響では、血圧が高い状態が続くと心臓に負担がかかり、心肥大や狭心症、心不全の原因になります。脳に対しては、血管が傷つきやすくなることで、脳梗塞や脳出血や一過性脳虚血発作のリスクが高まります。

腎臓にも影響があり、慢性的な高血圧は腎機能の低下や慢性腎臓病の進行につながります。さらに、血管自体への負担も大きく、動脈硬化を進行させることで大動脈瘤や末梢動脈疾患など血管系合併症のリスクも増加します。これらの合併症は症状が進行するまで自覚が少ないため、定期的な血圧管理と早期治療が極めて重要です。


5. まとめ

  • 高血圧は診察室血圧140/90mmHg以上、家庭血圧135/85mmHg以上で診断
  • 診断には複数回の血圧測定が必要
  • 生活習慣の改善が最も重要(減塩・運動・体重管理)
  • 重症例では降圧薬治療が必要(Ca拮抗薬、ARBなど)
  • 長期間放置すると脳卒中や心筋梗塞などの重大な合併症を引き起こす

血圧をしっかり管理し、健康を守ることが大切です。

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