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咳で悩まされる気管支喘息、どの薬を選べば良い?喘息の薬は飲み薬、吸入薬など様々です。

気管支喘息は、気道の慢性的な炎症により、咳や息切れ、ぜーぜーとした呼吸音が起こる病気です。季節の変わり目やアレルゲン、運動やストレスなどで症状が悪化することがあります。軽度の場合は日常生活に支障が少ないこともありますが、発作が起きると呼吸困難や強い咳、夜間の目覚めなど、生活の質を大きく低下させます。近年は吸入ステロイドや気管支拡張薬などの治療法が整っており、正しい薬の使い方と生活管理によって症状をコントロールしやすくなっています。この記事では、気管支喘息の原因や症状、診断方法、治療のポイントについてわかりやすく解説します。

目次

気管支喘息の主な症状

気管支喘息は、気道の慢性的な炎症と過敏性の亢進により、さまざまな呼吸器症状を引き起こす病気です。主な症状は、咳、喘鳴、息切れ、胸の圧迫感などです。症状は発作的に現れることが多く、特に夜間や早朝、季節の変わり目に悪化しやすいのが特徴です。咳は乾いた咳が多く、長時間続くことがあります。喘鳴は気道が狭くなることで空気の通過音が増幅されるために生じ、発作中は呼吸が苦しくなることもあります。息切れや胸の圧迫感は、気道の炎症や収縮により空気の流れが阻害されることによって起こります。

症状は個人差が大きく、軽症者ではたまに咳や喘鳴が出る程度で日常生活にほとんど支障がない場合もあります。しかし、発作が重度になると、呼吸困難や動悸、全身のだるさが現れ、歩行や会話も困難になることがあります。重症例では救急搬送が必要となることもあり、放置すると生命に関わるリスクがあります。特に夜間発作は睡眠障害を引き起こし、生活の質を低下させる要因となります。

また、喘息の症状は誘因によっても変化します。アレルギー性の喘息では、ダニや花粉、ペットの毛などがトリガーとなり、発作を誘発することがあります。感染性の喘息では風邪やインフルエンザなどの呼吸器感染がきっかけで悪化することがあります。運動誘発性喘息も知られており、特に寒冷空気下での運動中に咳や息切れが起こることがあります。

小児と成人でも症状の出方に違いがあります。小児では咳が主体で、夜間の咳や発作的な喘鳴が目立つことが多く、成人では慢性的な咳に加え、息切れや運動制限を自覚するケースが増えます。さらに、喘息は症状の軽快と悪化を繰り返すことが多く、発作がなくても気道の炎症が持続している場合があります。これにより、気道が徐々に狭くなる「リモデリング」が進行し、慢性的な呼吸機能低下につながることもあります。

まとめると、気管支喘息の主な症状は咳、喘鳴、息切れ、胸の圧迫感であり、発作性かつ変動性があることが特徴です。症状の重症度や誘因は個人差が大きく、夜間や運動時に悪化しやすいため、早期の診断と適切な治療、生活管理が症状のコントロールと合併症予防には不可欠です。

気管支喘息の原因

気管支喘息の原因は、気道の慢性的な炎症と過敏性の亢進によるものです。主な要因としては、アレルギー性と非アレルギー性に分けられます。アレルギー性では、ダニ、ハウスダスト、花粉、ペットの毛などに対する免疫反応が引き金となり、IgE抗体が関与した炎症が気道に生じます。一方、非アレルギー性では、風邪やインフルエンザなどのウイルス感染、喫煙や大気汚染、ストレス、寒冷空気などが発作を誘発します。

また、遺伝的な要因も関与しており、家族に喘息やアレルギー疾患を持つ人では発症リスクが高くなります。さらに、肥満や運動不足、生活習慣の乱れも気道の炎症を悪化させる要因とされています。これらの要因が複合的に作用することで、気道が過敏になり、わずかな刺激でも咳や喘鳴、息切れなどの症状が生じやすくなるのが気管支喘息の特徴です。

1.発作時の薬(救急薬)

気管支喘息の発作時に使用される薬は、救急薬(発作時薬)と呼ばれ、急激に狭くなった気道を拡張し、呼吸困難や咳、喘鳴を速やかに改善する目的で使用されます。代表的な薬は短時間作用型β2刺激薬(SABA)で、サルブタモールやプロカテロールなどがあります。これらの薬は吸入により直接気道に届き、気管支の平滑筋を即座に弛緩させることで、発作中の呼吸を楽にします。使用は1回2吸入が目安で、症状が強い場合は医師の指示に従って繰り返し吸入することがあります。

発作時薬は、発作の頻度や強さを見極める指標としても重要です。使用回数が増える場合や、吸入しても症状が改善しない場合は、喘息のコントロール不良を示しており、治療の見直しが必要です。副作用としては、動悸、手の震え、軽度の頭痛などが現れることがありますが、発作時にはこれらよりも呼吸確保が優先されます。また、吸入薬は発作を一時的に和らげるものであり、気道の慢性的な炎症を抑える効果はありません。そのため、日常的なコントローラー薬(吸入ステロイドなど)との併用が不可欠です。

救急薬は、家庭や学校、職場で迅速に使用できるよう、医師の指導のもとで吸入器の使い方や携帯方法を確認しておくことが大切です。また、発作の兆候や誘因を早期に把握し、症状が軽いうちに使用することで重篤な発作を防ぐことが可能です。正しい使用法と管理により、生活の質を維持しつつ、発作時のリスクを大幅に低減できます。

2.長期的なコントロール薬(コントローラー薬)

気管支喘息の長期管理には、コントローラー薬が不可欠です。コントローラー薬は日常的に使用することで気道の慢性的な炎症を抑え、発作の予防や症状の悪化防止を目的としています。代表的な薬剤は吸入ステロイド薬(ICS)で、商品名にはフルタイド(フルチカゾン)、パルミコート(ブデソニド)、アズマネックス(モメタゾン)などがあります。これらは気道の炎症を直接抑え、咳や喘鳴、息切れの頻度を減らします。

症状が中等度以上の場合は、吸入ステロイドと長時間作用型β2刺激薬(LABA)を併用することもあります。代表例としては、シムビコート(ブデソニド/ホルモテロール)、レルベア(フルチカゾン/ホルモテロール)があります。さらに、補助的にロイコトリエン受容体拮抗薬(商品名:モンテルカスト=シングレア、プランルカスト=オノン)や、重症例では抗IgE抗体デュピルマブ(デュピクセント)なども使用されます。

コントローラー薬は即効性はありませんが、毎日継続して使用することで発作の回数を減らし、生活の質を維持できます。定期的に医師と相談し、症状や副作用を確認しながら用量や薬剤を調整することが、安定した喘息管理には欠かせません。

3.その他の治療薬

気管支喘息の治療では、ステロイド薬と経口キサンチン薬が重要な役割を果たします。ステロイド薬は、気道の慢性的な炎症を抑えるための基本的なコントローラー薬で、吸入ステロイド(ICS)が主に使用されます。商品名にはフルタイド(フルチカゾン)、パルミコート(ブデソニド)、アズマネックス(モメタゾン)などがあり、毎日継続して吸入することで咳や喘鳴、息切れの発作を予防します。重症例では吸入ステロイドと長時間作用型β2刺激薬(LABA)を併用し、炎症と気道収縮の両方を抑える治療が行われます。また、急性増悪時には短期間の経口ステロイド(プレドニゾロンなど)が用いられることもあります。

一方、経口キサンチン薬(テオフィリン製剤)は、気道平滑筋を弛緩させることで気管支を拡張し、呼吸を楽にする薬です。商品名としてはテオドール、ユニフィリンなどがあります。即効性は吸入薬ほど高くありませんが、長期管理の補助として使用されることがあります。キサンチン薬は代謝や薬物相互作用に注意が必要で、血中濃度を確認しながら投与することが推奨されます。

ステロイド薬と経口キサンチン薬は、それぞれ作用機序が異なるため、併用することで喘息症状をより安定させることが可能です。治療計画は症状の重症度や発作頻度、年齢や合併症などを考慮して医師が決定し、発作の予防と日常生活の質の維持を目標とします。

どの喘息治療薬を選択すべきか

気管支喘息の治療薬の選択は、症状の頻度や重症度、発作の誘因、年齢、合併症などを総合的に判断して行います。発作が突然起こる場合には、短時間作用型β2刺激薬(SABA)などの発作時薬(救急薬)が必要です。一方、症状が慢性的に続く場合や発作の回数が多い場合は、吸入ステロイド薬(ICS)を中心としたコントローラー薬を継続使用して炎症を抑えることが基本です。

中等度以上の症状では、吸入ステロイドと長時間作用型β2刺激薬(LABA)の併用が推奨されます。また、アレルギー性の喘息では、ロイコトリエン受容体拮抗薬や抗IgE抗体などが補助的に使用されることがあります。選択時には、患者自身が薬を正しく使えるか、吸入器の使用法や服薬の継続性も考慮されます。治療は症状や経過に応じて薬剤や用量を調整し、発作の予防と生活の質維持を両立させることが重要です。

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