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骨がもろくなる骨粗鬆症!診断方法は?また原因、治療薬の種類はどんなものがある?

年齢とともに骨がもろくなり、骨折しやすくなる病気として知られるのが骨粗鬆症です。特に閉経後の女性や高齢者に多く見られ、背骨や股関節、手首の骨折を引き起こすことで、日常生活の自立や生活の質に大きな影響を与えることがあります。骨粗鬆症は自覚症状がほとんどないまま進行することが多く、骨折して初めて異常に気づくケースも少なくありません。そのため、早期の予防や診断、生活習慣の見直しが非常に重要です。本記事では、骨粗鬆症の原因や症状、診断方法、予防・治療のポイントをわかりやすく解説し、健康な骨を維持するための具体的なアプローチを紹介します。

目次

骨粗鬆症の原因

骨粗鬆症はさまざまな原因によって引き起こされますが、主に以下の要因が影響します。

  1. カルシウム不足
    骨の主要成分であるカルシウムが不足すると、骨密度が低下します。特に食事からのカルシウム摂取が不足すると骨粗鬆症のリスクが高くなります。
  2. ビタミンD不足
    ビタミンDはカルシウムの吸収を助ける働きがあり、これが不足するとカルシウムがうまく骨に取り込まれず、骨が弱くなります。
  3. 加齢
    年齢を重ねると、骨の新陳代謝が遅くなり、骨の形成よりも骨の破壊が進むため、骨密度が低下します。特に閉経後の女性は、女性ホルモンであるエストロゲンの減少により骨密度が急激に減少しやすくなります。
  4. ホルモンの影響
    女性は閉経後、エストロゲンの分泌が減少しますが、エストロゲンは骨の健康に重要な役割を果たしており、これが低下すると骨がもろくなります。男性でもテストステロン(男性ホルモン)の低下が影響を与えることがあります。
  5. 運動不足
    運動は骨を強く保つために必要不可欠です。特に体重を支える運動(ウォーキング、ジョギング、筋力トレーニングなど)は骨密度の維持に役立ちます。
  6. 生活習慣(喫煙、過度のアルコール摂取)
    喫煙や過度のアルコール摂取は、骨の健康を悪化させる要因となります。喫煙は血流を悪化させ、アルコールはカルシウムの吸収を妨げます。
  7. 病気や薬の影響
    甲状腺疾患(バセドウ病など)、副甲状腺疾患、消化器系の病気(例えばクローン病やセリアック病)、ステロイド薬の長期使用なども骨粗鬆症を引き起こす要因となります。

骨粗鬆症の原因

骨粗鬆症は、骨の量(骨密度)が低下し、骨の強度が弱くなることで骨折しやすくなる疾患です。その原因は多岐にわたりますが、加齢、性ホルモンの低下、生活習慣、栄養状態、基礎疾患などが関与しています。

まず加齢は大きな要因で、特に閉経後の女性ではエストロゲンの分泌が急激に低下することにより、骨の破壊が新しい骨の形成を上回り、骨密度が低下します。男性でも加齢に伴いテストステロンが減少することで骨量が減少します。栄養面では、カルシウムやビタミンDの不足が骨形成の低下を招き、骨粗鬆症のリスクを高めます。運動不足も骨に適度な刺激が与えられず、骨量減少につながります。さらに、喫煙や過度の飲酒、長期のステロイド使用、甲状腺疾患、腎臓病、糖尿病などの基礎疾患も骨密度の低下に影響します。遺伝的要素も関係しており、家族に骨折歴や骨粗鬆症のある人はリスクが高いとされています。

このように、骨粗鬆症は単一の要因で起こるものではなく、加齢やホルモン変化、生活習慣、栄養不足、基礎疾患などが複合的に影響することで発症します。そのため、予防や治療には生活習慣の改善、栄養補給、運動、必要に応じた薬物療法が重要です。

1. ビスホスホネート系薬

ビスホスホネート系薬は、骨粗鬆症の治療に広く用いられる薬で、骨吸収を抑制し骨の強度を維持する作用があります。骨は常に新陳代謝を繰り返していますが、骨吸収が骨形成を上回ると骨密度が低下し骨折のリスクが高まります。ビスホスホネートは破骨細胞の働きを抑えることで、骨の分解を防ぎ、骨量を保つ効果があります。

代表的な薬には、アレンドロネート、リセドロネート、ゾレドロン酸などがあり、内服薬や点滴製剤として使用されます。服用方法には注意が必要で、内服の場合は空腹時にコップ1杯の水で服用し、服用後30分〜1時間は横にならず、他の飲食を避けることで吸収や副作用リスクを低減できます。

副作用として、胃腸障害(胸やけ、胃痛)、まれに顎骨壊死や大腿骨近位部の骨折が報告されています。長期使用では医師の管理下で定期的な評価が推奨されます。ビスホスホネート系薬は、骨折リスクを大幅に減らす効果があり、骨粗鬆症治療の基本薬として位置付けられています。

2. 選択的エストロゲン受容体調整薬(SERM)

選択的エストロゲン受容体調整薬(SERM)は、骨粗鬆症の治療や予防に用いられる薬で、エストロゲン受容体に選択的に作用し、骨密度の低下を抑える効果があります。閉経後の女性では、エストロゲンの減少により骨吸収が進み骨量が減少するため、SERMは骨に対してエストロゲン様の作用を示し、骨の破壊を抑える一方、乳腺や子宮などではエストロゲンの作用を抑制するため、副作用を軽減できます。

代表的な薬にはラロキシフェンがあり、内服薬として使用されます。骨密度の維持だけでなく、脊椎骨折のリスクを減らす効果も報告されています。副作用としては、血栓症のリスクやほてり、脚のむくみがあり、高リスク者には慎重な投与が必要です。

SERMは、特に閉経後女性の骨粗鬆症予防や軽度の骨量低下に適しており、骨を守りながら全身への負担を抑える薬として、生活習慣改善と併せて使用されることが多いです。

3. カルシトニン製剤

カルシトニン製剤は、骨粗鬆症の治療に用いられる薬で、骨吸収を抑制する作用があります。骨は常に形成と吸収を繰り返していますが、骨吸収が過剰になると骨密度が低下し、骨折リスクが高まります。カルシトニンは甲状腺の傍濾胞細胞から分泌されるホルモンで、破骨細胞の働きを抑えることで骨の分解を防ぎます。

薬剤としては、注射や点鼻薬の形で使用され、特に背骨(椎体)の骨折による痛みの緩和や骨量低下の抑制に効果があります。副作用は比較的少なく、注射部位の痛みや吐き気、点鼻薬では鼻の刺激感や鼻血が報告される程度です。ただし、長期的な骨量増加効果は限定的であるため、ビスホスホネート系薬やSERMなどと併用することもあります。

カルシトニン製剤は、骨折による痛みの軽減や骨吸収抑制を目的に使用される補助的治療薬として位置づけられ、特に高齢者や椎体骨折の症状が強い患者に適応されます。

4. 活性型ビタミンD3製剤

活性型ビタミンD3製剤は、骨粗鬆症の治療や予防に用いられる薬で、カルシウムの吸収を促進し、骨の形成と維持を助ける作用があります。ビタミンDは腸管でのカルシウム吸収を高め、血中カルシウム濃度を安定させることで、骨へのカルシウム沈着を促進します。特に高齢者や腎機能低下患者では、体内でのビタミンD活性化が不十分になることがあり、活性型ビタミンD3製剤を用いることで効率的に骨代謝を改善できます。

代表的な薬にはエルデカルシトールやカルシトリオールがあります。内服薬として使用され、単独でも骨量維持に一定の効果がありますが、ビスホスホネート系薬やSERMと併用することで、骨折予防効果をさらに高めることが可能です。副作用は血中カルシウムの上昇による吐き気や便秘、腎結石のリスクなどがあり、血液検査でカルシウム値を確認しながら使用することが重要です。活性型ビタミンD3製剤は、骨の健康を支え、骨折リスクを減らすための基本的な補助療法として、生活習慣改善と併せて用いられます。

5. 骨形成促進薬

骨形成促進薬は、骨粗鬆症の治療において、骨を壊すだけでなく新しい骨を作る働きを高める薬です。骨は常に形成と吸収を繰り返していますが、高齢者や閉経後女性では骨形成が低下し、骨密度が減少します。骨形成促進薬は、骨芽細胞の働きを活性化することで、骨量の増加を促し、骨折リスクを低減します。

代表的な薬には、テリパラチド(副甲状腺ホルモン製剤)ロモソズマブ(抗スクレロスチン抗体)があります。テリパラチドは皮下注射で骨芽細胞を刺激し、新しい骨の形成を促進します。ロモソズマブは骨形成を促すと同時に骨吸収を抑える作用もあり、特に重度の骨粗鬆症や骨折リスクの高い患者に適しています。副作用には高カルシウム血症や注射部位反応、稀に心血管系リスクの増加が報告されるため、医師の管理下で使用されます。骨形成促進薬は、骨折リスクが高く、他の薬で十分な効果が得られない患者に対して、骨量の回復と骨強度改善を目指す治療選択肢として重要です。

6. デノスマブ(抗RANKL抗体)

デノスマブ(抗RANKL抗体)は、骨粗鬆症治療に用いられる注射薬で、骨吸収を抑える新しいタイプの薬です。骨の破壊は破骨細胞という細胞が関与していますが、破骨細胞の形成にはRANKLというたんぱく質が必要です。デノスマブはこのRANKLに結合して作用を阻害することで、破骨細胞の働きを抑え、骨量の減少や骨折リスクを低減します。

通常、皮下投与で6か月に1回の使用で済むため、服薬管理が難しい高齢者にも適しています。骨密度の増加や脊椎・大腿骨・橈骨などの骨折予防効果が確認されており、特に重度の骨粗鬆症やビスホスホネートが使えない患者に有効です。副作用としては、低カルシウム血症や感染症リスク、まれに顎骨壊死や大腿骨近位部の骨折が報告されるため、定期的な血液検査や口腔管理が推奨されます。

デノスマブは、骨吸収抑制を強力に行い、骨折リスクを減らす新しい治療選択肢として、生活習慣改善と併せて使用されることが多い薬です。

7. カルシウム製剤

カルシウム製剤は、骨粗鬆症の予防や治療に用いられる基本的な補助薬です。カルシウムは骨の主成分であり、十分なカルシウム摂取は骨密度の維持に欠かせません。特に高齢者や閉経後女性では、食事からのカルシウム摂取が不足しがちで、骨量低下や骨折リスク増加の原因となります。

カルシウム製剤は内服薬として補充され、食事だけでは不足するカルシウムを効率よく補うことができます。単独で骨粗鬆症を治療する効果は限定的ですが、ビスホスホネート系薬や活性型ビタミンD3製剤などの薬と併用することで、骨密度維持や骨折予防の効果を高めます。

副作用は比較的少なく、便秘やガスの増加、まれに高カルシウム血症が報告されます。長期的に安全に使用するためには、摂取量や他の薬との相互作用を医師や薬剤師と確認することが重要です。カルシウム製剤は、骨の健康を支える基礎的な栄養補助として、生活習慣改善と併せて活用される薬です。

8. ホルモン補充療法(HRT)

ホルモン補充療法(HRT)**は、閉経後女性の骨粗鬆症予防や治療に用いられる方法で、エストロゲンの不足を補うことで骨密度の低下を抑制します。閉経によりエストロゲンが急激に減少すると、骨吸収が骨形成を上回り、骨量が減少し骨折リスクが高まります。HRTは、このエストロゲン不足を補い、骨の破壊を抑える効果があります。

HRTは経口薬や皮膚貼付剤、注射などの形で使用され、骨密度の維持だけでなく、更年期症状(ほてり、発汗、気分変動など)の改善にも効果が期待されます。ただし、乳がんや子宮がん、血栓症などのリスクがあるため、医師による適切な評価と定期的な管理が必要です。

骨粗鬆症治療としては、HRTは特に閉経早期や骨量低下の進行が早い女性に有効で、生活習慣改善やカルシウム・ビタミンDの補給と併せて使用されることが多い、骨の健康を支える治療の一つです。

9. ストロンチウム製剤

骨形成を促進し、骨吸収を抑制する作用を併せ持つ薬ですが、日本では使用が制限されています。

これらの薬は、患者の年齢、性別、骨密度の状態、その他の健康状態などに応じて選ばれます。また、食事や運動といった生活習慣の改善も重要ですので、総合的な治療が推奨されます。

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