頭痛は老若男女が悩まされる疾患だと思います。ここでは外来でよく診る2つの頭痛についてお話します。
片頭痛
・20〜40代の女性に多い
・中〜重程度の頭痛
・片側の頭痛
・嘔気を伴う
・頭痛の継続時間は、4〜72時間
・特定の臭い、音、光で頭痛が増悪する
・歩行や階段の昇降で症状が増悪する
・肩こり、めまいなど、頭痛前の前兆を感じることがある
緊張型頭痛
・軽〜中程度の頭痛
・両側性の頭痛
・嘔気を伴わない
・頭痛の持続時間は30分〜7日間
・特定の臭い、音、光で症状が増悪することもある
また頭痛持ちの患者様で注意していただきたいのが、薬物乱用性頭痛です。
薬物乱用性頭痛とは、頭痛鎮静薬を慢性的に飲み続けることが原因で起きる頭痛です。
一般的に、3ヶ月を超える期間を1ヶ月10回以上鎮静薬を飲むことで、薬物乱用性頭痛になりやすいと言われています。
頭痛薬の使いすぎでこのようなことが起こることもあるので、頭痛の適切な診断と医療機関で診断を受けてくださいね。
脳梗塞とは、脳の血管が何らかの原因によって詰まってしまうことです。
これにより、詰まってしまった血管周囲の脳細胞は死んでしまいます。
とても怖い病気ですよね。
脳梗塞の原因は大きくわけて2つあります。
1つ目は、心房細動などの不整脈により心臓内で血栓(血の塊)ができて、それが脳の血管に飛んで詰まることです。
2つ目は、動脈硬化で血管が徐々に細くなっていくことで血管が詰まる機序です。
脳梗塞の症状は多彩です。詰まる血管によって症状は大きく変わります。
呂律が回らない、視野の欠損、物が二重に見える、片側の手足の麻痺などの症状が代表的です。
脳梗塞が疑わしければ、頭のMRI検査をすることで診断をすることが出来ます。
もし脳梗塞となってしまったら、血液を固まりにくくする薬を飲みます。1つ目が原因の場合は抗凝固薬、2つ目が原因の場合は抗血小板薬を飲みます。また脳梗塞を起こして4.5時間以内で一定の条件を満たせば、血栓溶解療法が適応になることがあります。脳梗塞を発症したかもしれないと思った時は、速やかに医療機関を受診してください。
脳出血とはその名の通り、脳の血管が何らかの原因で破綻し、脳内で出血をきたす疾患です。脳出血の原因は高血圧が最も多いです。しかしそれ以外にも、脳動脈瘤破裂、脳動静脈奇形、脳腫瘍など、重篤な疾患が原因となることもあります。
症状は脳出血する脳の部位で異なり、呂律が回らない、片側の手足の麻痺、めまいなど多彩な症状を認めます。診察をして脳出血を疑った場合、頭のCT検査を行います。
脳出血の治療は、血圧を上げて安静にすることです。また脳出血の急性期は脳が一時的に浮腫んでいる状態なので、脳浮腫を改善する薬を点滴で投与します。しかし脳出血の場所や症状に応じて、手術となる可能性もあります。そして重要なのは、発症後のリハビリです。
脳出血は医療機関にかかって検査をしないと診断が出来ず治療も専門的なので、自分や家族が脳出血かもしれないと思った場合は速やかに医療機関を受診してください。
認知症は、後天的要因で社会生活の遂行が困難となるほど多領域の認知機能が障害される疾患です。
団塊の世代の高齢化に伴い、2035年には認知症の患者様が700万人を超えると言われており、決して無視することが出来ない疾患です。
認知症の対応が社会問題となる理由の一つとして、どの診療科で認知症の相談や治療を行っているかが、あまり認知されていないことにあると思います。結論を言うと認知症を専門とする診療科は、脳神経内科、脳神経外科、精神科などです。それらが専門の医師の診察と、血液検査や頭部MRI検査で、認知症の診断ができます。
認知症にも色々種類があります。
パーキンソン病は10万人あたり100〜150人くらいの有病率といわれています。
しかし1000人に約1人と考えると、稀な疾患とは言えないでしょう。
パーキンソン病は、特徴的な症状であるが故に、知名度は高い病気だと思います。
パーキンソン病の原因は体内のドパミンという物質が減ることですが、その原因は未だ解明されておりません。生活習慣病と違って、未然に予防出来るものではないのです。
パーキンソン病の症状は珍しい症状が多く、以下にまとめました。
このように、パーキンソン病の症状は特徴的で専門的です。
またこのような症状でも、パーキンソン病の類似疾患である脊髄小脳変性症、多系統萎縮症、進行性核上性麻痺、薬剤性パーキンソニズムなどの可能性もあります。
パーキンソン病は、脳神経内科や脳神経外科の診察を受けて、頭部MRI検査、ドパミントランスポーターイメージング、MIBG心筋シンチなどの検査をすることで確定診断することができます。
治療は欠乏したドパミンを補充する薬である、エルドパやドパミンアゴニストを使用します。
ギランバレー症候群とは、風邪や下痢を契機に末梢神経が傷害され、感染から1〜2週間後に手足のしびれや脱力感、脈拍や血圧異常などの自律神経障害を生じる病気です。体中に張り巡らされた末梢神経は、神経の興奮を伝える軸索の周りを、髄鞘と呼ばれるタンパク質に覆われた構造をしています。ギランバレー症候群は、風邪や下痢の原因ウイルスに対して機能するはずの免疫が、何らかの理由で軸索や髄鞘を攻撃することで発症すると言われております。
診断は主に、抗ガングリオシド抗体の有無を調べる血液検査、タンパク質や細胞数の異常を調べる髄液検査、末梢神経の機能を調べる伝導検査にて行います。ギランバレー症候群の患者は入院措置が取られ、6ヶ月以内に自然回復しますが、稀に重症化し死に至ることもあるため注意が必要です。免疫抑制剤のステロイドが効かず、中等度以上のケースでは、免疫グロブリン静注療法や血液浄化療法が治療法として選択されます。
ALS(筋萎縮性側索硬化症)とは、運動神経細胞(運動ニューロン)の障害により、全身の筋肉が萎縮し力が入らなくなる原因不明の難病です。ALSでは筋肉そのものに異常があるわけではなく、筋肉に指令を送る神経が障害されます。初めは歩きづらさや手の動かしづらさを感じる他、疲れやすいなどの症状が現れます。個人差はありますが、ALSは数ヶ月から数年かけて進行し、全身の筋萎縮が起きると目でコミュニケーションを行う機器の導入、呼吸筋が傷害されると人工呼吸器の導入が必要です。
診断には針心電図や筋超音波検査、X線やMRI・CTなどが有用です。必要に応じて骨髄検査や髄液検査を行い、末梢神経障害や筋障害など、他の神経疾患と区別します。ALSは原因不明な病気のため明確な治療法はありませんが、病気の進行を遅らせるために、リルゾールやエダラボンなどの治療薬が用いられます。その他、症状をやわらげる対症療法としてリハビリテーションを行うことも重要です。
髄膜とは、脳を包む膜です。細菌、真菌、結核菌、ウイルス感染により髄膜が炎症を起こすと髄膜炎になります。
一般的な症状は発熱、頭痛、悪心、嘔吐です。しかし未治療で炎症が脳に波及すると、意識障害、痙攣、失語症、麻痺を来す可能性があります。特に細菌性髄膜炎は、成人の致死率は20%前後と言われています。そして高齢者、糖尿病や悪性腫瘍などの疾患をお持ちの方は重症化しやすいです。髄膜炎の初期症状は風邪と似ているので、診断がつきにくい点も非常に恐ろしいです。
確定診断は腰に針を刺して採取する、髄液検査です。治療は多種類の抗生物質と炎症を抑えるステロイドの点滴です。投与する期間は最低でも1週間は必要です。
てんかんとは、神経の過剰な興奮により起こるてんかん発作と発作間欠時を繰り返す疾患です。発作の型と原因により「特発性部分てんかん」「特発性全般てんかん」「症候性部分てんかん」「症候性全般てんかん」の4つに分類されます。小児と高齢者によく見られる疾患ですが、幅広い年齢層で発症する点が特徴です。てんかん発作時には、身体の一部の痙れん、過呼吸、急激な筋収縮、意識消失などさまざまな症状が見られます。いずれの発作も数秒から5分程度、長くても30分程度で治まることが大半です。
てんかんの治療は、脳の過剰な興奮を抑える抗てんかん薬の投与が中心となります。てんかんの分類や発作の種類に応じて投与される薬剤は異なるため、問診や脳波・MRI検査にて鑑別することが重要です。
てんかん患者は、発作間欠時は日常生活を送れます。進学や就労、結婚、出産などのライフイベントで患者が障壁を感じないよう、周りの方がサポートしていくことが大切です。
重症筋無力症とは、神経から筋肉に信号を伝えるために必要な受容体に対して抗体ができ、筋力が低下する自己免疫疾患です。筋力低下が眼筋周辺で起こり眼瞼下垂が見られる眼筋型と、嚥下障害・構音障害・呼吸障害や四肢近位・体幹の筋力低下が見られる全身型に分類されます。夕方が近づくにつれ、症状が出現する点(日内変動)が特徴です。診断では主に、血液検査を行い抗アセチルコリン受容体抗体(抗Ach抗体)もしくは抗筋特異的チロシンキナーゼ抗体(抗Musk抗体)の有無を確認します。
重症筋無力症は対症療法として、神経から筋肉への信号が伝わりやすくなるコリンエステラーゼ阻害薬が用いられます。ただ自己免疫疾患であるため、免疫療法が治療の中心です。ステロイドや免疫抑制剤の投与、血液浄化療法が行われます。重症筋無力症では、胸腺腫瘍を合併するケースがあります。その場合は、摘出するために外科的手術が必要です。
多発性硬化症(MS)とは、中枢神経系(脳と脊髄)の白質と呼ばれる構造に炎症が生じる疾患です。神経は通常、髄鞘と呼ばれるタンパク質に覆われています。多発性硬化症では脱髄が多発し神経がむき出しになることで、視力障害・感覚障害・排尿障害・認知障害など、さまざまな神経症状が現れます。詳しい原因は不明ですが、免疫が体の組織を攻撃する自己免疫疾患が関わるとする説が有力です。多発性硬化症は臨床経過像により、再発寛解型と慢性進行型に分類されます。再発寛解期型は再発と寛解を繰り返し、その後二次進行型に移行するケースが大半です。一方の慢性進行型は、初期症状が現れてから慢性的に症状が進行します。診断は症状や病歴を確認する問診、脱髄病変を特定するMRI検査、髄液の成分を調べる髄液検査が有用です。多発性硬化症は自己免疫疾患であるため、免疫の働きを抑える治療が中心となります。急性期にはステロイド・パルス療法、再発予防にはINF-β(インターフェロンベータ)が効果的です。
西新宿駅から徒歩3分
医療機関名 |
---|
西新宿今野クリニック |
住 所 |
〒160-0023 東京都新宿区西新宿7-21-7 |
診療科目 |
整形外科、脳神経内科(神経内科)、内科、リハビリテーション科 |
電話番号 |
03-3371-5813 |