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アミロイドーシスについて

アントニオ猪木さんが患っていたアミロイドーシスとは?

アミロイドーシスは珍しい病気ですが、アントニオ猪木さんが患っていたことで聞いたことがある方は多いのではないでしょうか。この病気は、人体に悪影響を及ぼすアミロイドというタンパク質が、全身の臓器に沈着することで臓器障害を認める病気です。

障害される臓器は、心臓、腎臓、小腸〜大腸、末梢神経など多岐に渡ります。例えばアミロイドが心臓に付着したら心不全、心肥大、不整脈に、腎臓なら腎不全、ネフローゼ症候群に、腸なら吸収不良や下痢、末梢神経なら排尿障害、発汗障害、勃起障害を認めます。アントニオ猪木さんは、心アミロイドーシスによる心不全が直接の死因でした。

アミロイドーシスは以下のように分類されます。

  1. ALアミロイドーシス(原発性アミロイドーシス):免疫系の異常によって引き起こされ、骨髄の異常なプラズマ細胞がアミロイドを生成します。これは最も一般的なタイプです。
  2. AAアミロイドーシス(続発性アミロイドーシス):慢性的な炎症(例えば、リウマチや結核など)によって引き起こされるタイプです。
  3. ATTRアミロイドーシス:遺伝的要因によって引き起こされ、トランスサイレチンというタンパク質が異常に折りたたまれてアミロイドが蓄積します。これには家族性(遺伝的)と後天性のタイプがあります。

アントニオ猪木さんは全身性トランスサイレチンアミロイドーシスという病気で、詳細は公表されていませんがこのタイプのアミロイドーシスは遺伝か加齢と言われています。検査は、アミロイドが沈着している組織を生検し、標本をコンゴーレッド染色で染めることで確定診断となります。つまり大腸なら内視鏡での生検、末梢神経なら神経生検をするということで、侵襲的な処置となります。それだけ、診断は難しい病気なのです。

治療は原因によって異なります。アミロイドーシスは従来、治療有効性の高い薬はありませんでした。しかし最近ではダラツムマブとボルテゾミブの併用療法など、科学的根拠のある治療法も確立されてきています。
Giovanni Palladini et al. How I treat AL amyloidosis. Blood. 2022, 139(19):2918-2930. 

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