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糖尿病の薬には、飲み薬と注射薬があり、それぞれ働き方や注意点が異なります。「新しい薬が一番よい」「血糖を強く下げる薬ほどよい」というわけではありません。
薬を選ぶときには、血糖値やHbA1cに加えて、糖尿病のタイプ、年齢、腎臓や心臓の状態、低血糖の起こりやすさ、体重、生活リズムなどを確認します。
この記事では、主に2型糖尿病で使う薬の特徴と、安全に治療を続けるためのポイントを解説します。現在の薬を自己判断で変更・中止するためではなく、主治医との相談にお役立てください。
2型糖尿病では、インスリンの分泌が不足している程度や、インスリンが効きにくくなっている程度が異なります。さらに、心不全や慢性腎臓病などの併存疾患によっても、薬を選ぶ際に重視する点が変わります。
主に確認するのは、次のような点です。
HbA1cの目標も一律ではありません。合併症予防のために7%未満を目指すことが多いものの、年齢や低血糖リスクなどに応じて個別に設定します。
また、著しい高血糖やインスリン不足がある場合には、最初からインスリンが必要になることがあります。必ず飲み薬を何種類も試してから注射へ進むわけではありません。[1]
同じ薬でも、使う量、治療前の血糖値、インスリンの分泌状態、併用薬などによって血糖の下がり方は異なります。血糖を下げる力と、その方にとっての使いやすさ・副作用のリスクは別に考える必要があります。
例えば、低血糖を避けたい方と、心不全や腎臓病への対応を重視する方では、選ぶ薬が異なる場合があります。心臓や腎臓の病気に対して承認された薬もありますが、同じ分類の全製品が同じ適応や効果を持つわけではありません。薬の名前や強さの順位だけで変更せず、追加・変更の目的を主治医に確認しましょう。[1]
以下は代表的な特徴です。同じ分類でも、製品によって適応や用量、腎機能に応じた調整などが異なります。主な注意点を示しており、すべての副作用を網羅する表ではありません。
表が画面に収まらない場合は、表の部分を横にスクロールしてご覧ください。
| 薬の種類 | 主な働き | 主な注意点 |
|---|---|---|
| ビグアナイド薬(メトホルミン) | 肝臓からの糖の放出を抑えるなどして血糖を下げる | 胃腸症状。脱水や腎機能低下などに伴う乳酸アシドーシスに注意。腎機能等によって使用制限がある |
| SU薬 | 膵臓からのインスリン分泌を促す | 低血糖、体重増加。高齢者や食事量が少ない方では特に注意 |
| グリニド薬 | 食事に合わせて短時間インスリン分泌を促す | 低血糖。服用と食事のタイミングが重要 |
| DPP-4阻害薬 | 血糖に応じたインスリン分泌などを助ける | 併用薬によって低血糖リスクが上がる。腎機能に応じた調整は薬ごとに異なる |
| SGLT2阻害薬 | 尿に糖を排出して血糖を下げる | 脱水、性器・尿路感染症、ケトアシドーシスなど。血糖が著しく高くなくてもケトアシドーシスに注意 |
| α-グルコシダーゼ阻害薬 | 糖質の消化・吸収を遅らせ、食後の血糖上昇を抑える | お腹の張り、下痢など。低血糖時は砂糖ではなくブドウ糖を用いる |
| チアゾリジン薬(ピオグリタゾン) | インスリンを効きやすくする | むくみ、体重増加。心不全がある方・過去に心不全になった方などには使用できない |
| イメグリミン | インスリン分泌を促し、インスリンの効きにくさを改善する | 胃腸症状、併用時の低血糖。重い食欲低下・嘔吐による脱水にも注意。腎機能に応じた用量・間隔の確認が必要 |
| 経口GLP-1受容体作動薬 | 血糖に応じたインスリン分泌などを促す | 吐き気、嘔吐、下痢など。服用する時間や水の量などの決まりがある。詳しくは次の項目へ |
「単独では低血糖を起こしにくい薬」でも、インスリンやSU薬などとの併用では注意が必要です。薬の数だけでなく、組み合わせも確認します。1錠に複数の成分を含む配合薬もあるため、お薬手帳で成分を確認してください。[1・2]
メトホルミンでは脱水・過度の飲酒など、ピオグリタゾンではむくみや急な体重増加などに注意が必要です。イメグリミンでも食事や水分が取れないほどの食欲低下・嘔吐は、次回受診を待たず相談してください。腎機能による制限や調整方法は薬ごとに異なるため、以前の処方量を自己判断で続けたり増減したりしないでください。[7・8・9]
GLP-1受容体作動薬は、血糖に応じたインスリン分泌などを促す薬です。注射薬に加え、飲み薬もあります。食欲や胃の動きにも作用し、体重が減る場合があります。
一方、マンジャロの成分であるチルゼパチドは、GIPとGLP-1の両方の受容体に作用する、週1回の注射薬です。マンジャロの国内での承認適応は2型糖尿病です。
これらの薬では、吐き気、嘔吐、下痢などの胃腸症状に注意します。マンジャロで嘔吐を伴う持続的な激しい腹痛などがあれば、急性膵炎を疑い、使用を中止して速やかに受診する必要があります。強い便秘と腹部の張り・嘔吐、腹痛と発熱なども相談が必要です。インスリンやSU薬との併用では低血糖にも注意します。[3・6]
妊娠の可能性・希望、授乳、併用薬、手術や麻酔・深い鎮静を受ける予定は必ず伝えてください。マンジャロは妊娠中・妊娠の可能性がある方には投与しません。ほかのGLP-1関連薬や同じ成分の薬を、自己判断で重ねて使用しないでください。[6]
糖尿病治療と美容・減量目的の使用は区別してください。体重への効果だけで薬を選ぶことはできず、同じ成分を含む薬でも製品ごとに適応が異なります。マンジャロの減量目的での使用は国内で承認された効能・効果とは異なり、この記事はその使用を勧めるものではありません。[6]
インスリンは、体内で不足しているインスリンを補う治療です。1型糖尿病では生命維持に欠かせず、2型糖尿病でも、強い高血糖や体調の変化などに応じて必要になります。
飲み薬で目標に届かない場合だけでなく、感染症や手術の前後などに一時的に使用することもあります。インスリンを始めたことが、治療の失敗や本人の努力不足を意味するわけではありません。
作用時間の異なる製剤を使い分け、生活や食事、血糖の状態に合わせて調整します。低血糖を防ぐため、注射量やタイミング、食事が取れない日の対応を事前に確認しておきましょう。インスリンとGLP-1受容体作動薬を組み合わせた配合注射薬もあり、注射の本数だけでは内容は判断できません。[3]
低血糖では、冷や汗、手の震え、動悸、強い空腹感などが出ることがあります。進行すると、判断力の低下や意識障害を起こす場合があります。症状がはっきりしない低血糖もあります。
意識がはっきりしていて安全に飲み込める場合は、主治医から指示された方法に従い、ブドウ糖などで速やかに対応します。成人の一般的な対応はブドウ糖10gを取り、約15分後に症状と、測定できる場合は血糖を再確認する方法です。改善しない場合は再び同量を取り、医療機関へ連絡してください。対応しても改善しない、悪化する場合は救急対応が必要です。個別に指示された量がある場合はその指示に従ってください。[4]
α-グルコシダーゼ阻害薬を使っている方は、砂糖ではなくブドウ糖を使用してください。低血糖が疑われるときは運転や危険な作業を中断し、安全な場所で対処しましょう。
意識が悪い、けいれんしている、安全に飲み込めない場合は119番へ連絡し、口から食べ物や飲み物を与えないでください。グルカゴンを処方され、家族などが使い方の指導を受けている場合は、その指示に従います。使用のために救急要請を遅らせないでください。[4]
低血糖が改善しても再び下がることがあるため、繰り返す場合や他人の助けが必要だった場合は、処方の見直しについて相談してください。
糖尿病の方が発熱、下痢、嘔吐などで体調を崩した日を「シックデイ」といいます。食事が取れなくても、感染症などの影響で血糖が上がることがあります。一方、食事量が減って低血糖になる場合もあります。[5]
SGLT2阻害薬は、発熱・下痢・嘔吐や食欲不振で食事が十分取れないシックデイには休薬が必要です。メトホルミンも、脱水や食事が十分取れない場合などには一時中止し、処方元へ連絡してください。再開の時期を含め、普段から薬ごとの対応を主治医に確認しておきましょう。[7・10]
一方、インスリンを自己判断で一律に中止すると、危険な高血糖やケトアシドーシスにつながることがあります。特に1型糖尿病では、食事が取れなくても基礎分泌を補うインスリンが必要です。量の調整は事前の指示に従い、指示がない・判断に迷う場合は早めに処方元へ連絡してください。[5]
水分は状態に合わせて取り、心不全や腎臓病などで水分制限がある方はその指示を確認してください。水分が取れない、嘔吐を繰り返す、強い腹痛がある場合などは早急な受診が必要です。SGLT2阻害薬の使用中は、血糖値が正常に近くてもケトアシドーシスが起こることがあるため、強いだるさ・吐き気・腹痛を血糖値だけで判断しないでください。意識の異常や強い呼吸困難があれば119番へ連絡してください。[5・10]
すべての方に共通する一番よい薬はありません。血糖だけでなく、腎機能、心臓の病気、低血糖リスク、生活や費用などを考慮して選びます。
薬の数だけでは判断できません。異なる働きの薬を組み合わせることで、効果と副作用のバランスを調整する場合もあります。追加する目的を確認しましょう。
いいえ。GLP-1受容体作動薬やマンジャロなど、インスリンとは異なる注射薬もあります。働き方や使用上の注意が異なるため、薬の名前と使い方を確認してください。
薬の効果で数値が改善している可能性があります。減量や中止が可能かは経過を見て判断するため、自己判断でやめずに相談してください。
一律には決められません。休薬が必要な薬もあれば、中止すると危険なインスリンもあります。事前の指示に従い、指示がない場合は処方元へ連絡してください。水分が取れない・嘔吐を繰り返す場合は早急に受診し、意識の異常や強い呼吸困難は119番です。
糖尿病の治療では、血糖を下げることに加え、低血糖を防ぎ、生活に合った方法を続けることが大切です。
「今の薬の目的がわからない」「副作用が気になる」「服用回数や費用の負担を相談したい」といった点も、診察時にお伝えください。お薬手帳、最近の検査結果、血糖測定の記録があればお持ちいただくと、治療内容を確認しやすくなります。
西新宿今野クリニックの糖尿病診療のご案内、持病を含めた相談については内科の診療案内をご覧ください。来院時の受付方法は受診案内、所在地は地図・交通案内で確認できます。
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