メニュー
整形外科はこちら
脳神経内科はこちら
内科はこちら
健康診断はこちら
ワクチンはこちら
| 診療時間 | 月 | 火 | 水 | 木 | 金 | 土 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 午前 9:00~ 13:00 | ● | ● | ● | ● | ● | ●※ |
| 午後 15:00~ 18:00 | ● | ● | 休 | ● | ● | 休 |
初診の方とリハビリの方は、診療終了30分前までの受付となります。
【休診日】日祝、水曜午後、土曜午後 ※第2第4土曜
| 診療時間 | 月 | 火 | 水 | 木 | 金 | 土 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 午前 9:00~ 13:00 | ● | ● | ● | ● | ● | ●※ |
| 午後 15:00~ 18:00 | ● | ● | 休 | ● | ● | 休 |
初診の方とリハビリの方は、診療終了30分前までの受付となります。
【休診日】日祝、水曜午後、土曜午後 ※第2第4土曜
24時間365日ご相談を受け付けております!

高齢者のてんかんと車の運転は、社会的にも重要なテーマです。高齢化が進む日本では、てんかんを新たに発症する高齢者が増えています。てんかんというと若年者の病気というイメージを持たれがちですが、実際には脳梗塞や認知症、外傷などをきっかけに高齢期に発症するケースが多く、決して珍しいものではありません。そして、運転免許を持つ高齢者が増えている現代において、「てんかんと自動車運転」の問題は、本人だけでなく家族や社会全体に関わる課題です。てんかん発作が起きた場合、意識を失ったり体が硬直したりすることがあり、運転中に発作が起これば重大な事故につながるおそれがあります。そのため、法律上もてんかんを持つ方の運転には一定の制限や条件があります。一方で、てんかんがあっても適切に治療を受け、一定期間発作がなければ運転を再開できる場合もあります。このブログでは、高齢者のてんかんの特徴や、運転に関する法的基準、安全に運転を続けるためのポイントについて詳しく解説します。
高齢者のてんかんは、若年者とは異なる特徴を持ち、原因や治療方針にも特有の注意が必要です。てんかんとは、脳の神経細胞が一時的に過剰に興奮することで発作が繰り返し起こる病気です。高齢者の場合、その背景には脳の老化や血管障害など、加齢に伴う変化が深く関わっています。
主な原因として最も多いのは脳血管障害(脳梗塞や脳出血など)です。脳の一部が損傷を受けると、その部位の神経細胞が過敏になり、異常な電気活動を起こしやすくなります。次いで多いのが認知症(特にアルツハイマー病やレビー小体型認知症)によるものです。神経細胞の変性が進むことで発作の閾値が下がり、てんかん発作を起こしやすくなります。また、脳腫瘍、頭部外傷、慢性硬膜下血腫、感染後の後遺症、薬の影響や代謝異常なども原因として挙げられます。一方で、明らかな原因が見つからない「特発性てんかん」も少数ながら存在します。
治療の基本は抗てんかん薬の投与です。ただし高齢者では、薬の代謝や排泄機能が低下しているため、若い人と同じ量では副作用が出やすく、慎重な投与が求められます。最初は少量から開始し、発作のコントロールと副作用のバランスを見ながら調整します。代表的な薬として、レベチラセタム、ラモトリギン、バルプロ酸ナトリウムなどが用いられますが、認知機能への影響や眠気、ふらつきなどに注意が必要です。特に転倒や誤嚥など、高齢者に多い合併症を悪化させることがあるため、定期的な診察と血中濃度のチェックが重要です。
また、治療では生活習慣の見直しも欠かせません。睡眠不足、脱水、飲酒、感染、ストレスなどは発作を誘発する要因となります。家族や介護者が発作の特徴や頻度を記録し、医師と共有することも治療効果を高めるうえで役立ちます。さらに、高齢者ではてんかん発作が一見「ぼんやりして動きが止まる」「突然動作が止まる」といった軽い意識障害として現れることが多く、認知症の症状と区別が難しいこともあります。そのため、発作の見逃しを防ぐためにも、早期の神経内科受診と専門的な評価が大切です。
総じて、高齢者のてんかんは背景疾患の管理と副作用への注意を両立させることが重要です。丁寧な診断と個別化された治療により、多くの方が安定した生活を送ることが可能です。
また高齢者でてんかんを持つ方は意外と多く、発展途上国では50歳以上から、先進国では60歳以上からてんかんの有病率が有意に上昇するというデータもあります。
Olafsson E, Hauser WA. Prevalence of epilepsy in rural Iceland: a population-based study. Epilepsia. 1999;40(11):1529–1534.Lavados J et al. descriptive study of epilepsy in the district of El Salvador, Chile, 1984–1988. Acta Neurol Scand. 1992;85(4):249–256.
てんかんを持つ方にとって、「車の運転をしてよいのか」という問題は、日常生活や社会参加に深く関わる重要なテーマです。てんかん発作は突然に起こることがあり、運転中に意識を失ったり体が硬直したりすると、重大な交通事故につながる危険があります。そのため、日本の法律では、てんかんと診断された場合、一定の条件を満たさなければ運転免許を取得・更新することができません。
道路交通法では、てんかんは「一定の病気等」に該当します。この法律に基づき、運転免許を取得または更新する際には、発作の有無やコントロール状況について申告する義務があります。虚偽の申告を行った場合は、免許の取消しや罰則の対象となることもあります。とはいえ、てんかんのある方すべてが運転を禁じられているわけではありません。発作が適切にコントロールされ、安全に運転できる状態と認められれば、免許を保有することが可能です。
具体的には、発作が過去2年間に一度も起きていない場合、または医師が「今後発作を起こすおそれが少ない」と判断した場合には、運転が許可されます。この「2年間発作がない」という基準は一般的な目安であり、てんかんの種類や治療経過によっては、1年間発作がなければ再開できるケースもあります。たとえば、夜間睡眠中のみ発作が起きる場合や、意識障害を伴わない軽い部分発作の場合には、個別に運転可と判断されることもあります。
運転を再開するためには、主治医による診断書の提出が必要です。この診断書には、発作の有無、治療状況、服薬の内容、再発の可能性などが記載され、公安委員会が最終的な判断を行います。発作が再発した場合や薬を中断した場合は、再び運転を控える必要があり、一定期間の発作なしが確認されるまで免許は再取得できません。
また、運転を続ける際には、薬の副作用や生活リズムの乱れにも注意が必要です。眠気や集中力の低下を引き起こす薬を服用している場合は、発作がなくても事故リスクが高まります。睡眠不足や飲酒、ストレスなどは発作を誘発する要因になるため、規則正しい生活を心がけることが大切です。
高齢のてんかん患者では、脳の老化や合併症により判断力や反応速度が低下していることもあるため、本人だけでなく家族や医師と相談しながら慎重に運転の可否を判断する必要があります。
総じて、てんかんがあるからといって必ずしも運転が禁止されるわけではありません。適切な治療と発作の管理を継続し、医師と公安委員会の指示を守ることで、安全に社会生活を送ることが可能です。重要なのは、「自己判断で運転を続けない」こと。発作のコントロール状況を定期的に確認し、医師と連携しながら慎重に判断することが、本人と社会の安全を守る第一歩となります。
高齢者のてんかんと交通事故の関係は、社会的にも深刻な問題として注目されています。高齢者のてんかんは、若年者と比べて発作の現れ方が多様で、本人や周囲が気づきにくい場合が多いのが特徴です。そのため、運転中に突然の意識消失や動作の停止などが起こり、重大な事故につながることがあります。日本でも、高齢者ドライバーの事故の中には、てんかん発作が関与していた可能性が指摘されるケースがあります。
高齢者のてんかん発作にはいくつかのタイプがあります。典型的な全身けいれん発作のほかに、数十秒から数分間ぼんやりして動作が止まる「焦点意識減損発作」や、体がこわばるだけで意識が保たれる「運動発作」など、見た目には軽く見える発作もあります。これらの発作中に運転していると、赤信号で止まれなかったり、車線をはみ出したりする危険があります。また、高齢者は反射神経や判断力の低下もあり、異常を感じてもブレーキを踏むのが遅れることがあります。
実際の事故例としては、「てんかん発作により意識を失い、交差点に突入して多重事故を起こした」「発作後のもうろう状態でアクセルとブレーキを踏み間違えた」「発作後の一時的な混乱で逆走した」などが報告されています。こうした事故は、一瞬の発作が引き金になることが多く、本人に悪意がなくても深刻な被害をもたらす可能性があります。特に、高齢者では発作後の回復が遅く、数分から十数分間意識がはっきりしない状態が続くこともあり、事故後の対応も難しくなります。
高齢者のてんかんによる事故を防ぐためには、まず正しい診断と治療の継続が重要です。高齢者では「認知症」や「脳血管障害」と誤認されて、てんかんの診断が遅れることがあります。最近「一瞬ぼんやりする」「動作が止まる」「記憶が途切れる」といった症状がある場合は、神経内科を受診し、脳波検査やMRIなどで評価することが勧められます。
治療では、抗てんかん薬により発作の再発を防ぐことが基本です。ただし、高齢者は薬の代謝が遅いため、副作用(眠気、ふらつき、注意力低下など)が出やすく、これ自体が事故のリスクになることもあります。そのため、薬の種類や量の調整を慎重に行い、主治医と相談しながら治療を継続することが大切です。
また、運転免許制度との関係も理解しておく必要があります。道路交通法では、てんかんのある人が発作を2年以上起こしていない場合、または医師が「再発のおそれが少ない」と判断した場合に限り、運転が認められます。発作が再発した際には速やかに運転を中止し、再評価を受けなければなりません。
家族や周囲のサポートも欠かせません。発作の兆候を見逃さず、服薬忘れや体調の変化に注意し、必要に応じて運転を控えるよう助言することが安全につながります。
高齢者のてんかんによる交通事故は、本人だけでなく他者を巻き込む危険をはらんでいます。しかし、発作を適切に管理し、医師の指導に従えば、安全に生活を続けることは十分可能です。大切なのは「発作を隠さず、共に予防する姿勢」です。医療と家族、社会の連携が事故防止の鍵となります。