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インフルエンザの後遺症で起きる怖い病気「インフルエンザ脳症」について

目次

インフルエンザで起こり得る「脳症」とは?

インフルエンザは、発熱や咳、喉の痛みなどを伴う身近な感染症ですが、まれに命に関わる重い合併症を引き起こすことがあります。そのひとつが「インフルエンザ脳症」です。特に小児に多いことで知られていますが、成人でも発症することがあり、決して他人事ではありません。インフルエンザ脳症は、発熱後まもなく意識障害やけいれん、異常な言動などの神経症状が急激に現れるのが特徴で、短時間のうちに重症化することがあります。通常のインフルエンザ症状と区別がつきにくい初期段階で、異変に気づけるかどうかが、その後の経過を大きく左右します。インフルエンザを「ただの風邪」と軽く考えず、どのような症状に注意すべきなのかを知っておくことが、早期対応につながります。この記事では、インフルエンザ脳症の概要や症状、注意点について分かりやすく解説していきます。

どのような症状が出るのか

インフルエンザ脳症は、インフルエンザの発症後まもなく現れる重い合併症で、特に小児に多くみられます。通常のインフルエンザでは、発熱や咳、喉の痛みなどが主な症状ですが、脳症ではこれに加えて神経症状が急激に出現することが特徴です。最初にみられるのは、発熱後に元気がなくなる、ぼんやりする、反応が鈍くなるといった変化です。呼びかけに対する反応が弱くなったり、会話が成り立たなくなったりすることもあります。また、意味の分からない言動をする、急に興奮するなど、異常な行動がみられることもあります。症状が進行すると、意識障害がはっきりし、眠ったまま起きない、刺激に反応しないといった状態になることがあります。さらに、全身や一部のけいれんを起こすこともあり、繰り返す場合は重症化のサインとされています。嘔吐を繰り返したり、頭痛を強く訴えたりする場合もあります。重症例では、呼吸が不安定になる、血圧が低下するなど、全身状態にも影響が及びます。これらの症状は短時間で進行することがあり、早急な医療対応が必要です。インフルエンザにかかった後、高熱に続いて意識の変化やけいれん、異常な言動がみられた場合には、様子を見ずに速やかに医療機関を受診することが重要です。早期対応が、命を守り、後遺症を防ぐことにつながります。

なぜ脳症が起こるのか

インフルエンザ脳症は、インフルエンザウイルスに感染したことをきっかけに、脳の働きが急激に障害される重い合併症です。原因として最も重要と考えられているのは、ウイルスそのものではなく、体の免疫反応が過剰に働いてしまうことです。通常、ウイルスが体内に侵入すると、免疫システムが働き、ウイルスを排除しようとします。その際に「サイトカイン」と呼ばれる炎症物質が放出されます。これは本来、体を守るために必要な反応ですが、インフルエンザ脳症では、このサイトカインが過剰に産生されてしまうことがあります。サイトカインが大量に放出されると、全身の血管の透過性が高まり、血管の外に水分が漏れやすくなります。脳でも同様の現象が起こり、脳がむくんだ状態、いわゆる「脳浮腫」が生じます。脳は硬い頭蓋骨の中にあるため、むくみが起こると脳圧が急激に上昇し、意識障害やけいれんといった症状が現れます。重要なのは、インフルエンザ脳症の多くが、ウイルスが直接脳に感染して炎症を起こす「脳炎」とは異なる点です。インフルエンザ脳症では、脳内でウイルスが検出されないことも多く、免疫反応の異常が中心的な役割を果たしていると考えられています。また、小児に多い理由として、免疫系や脳の発達が未熟であることが関係している可能性が指摘されています。さらに、発熱に対する体の反応や遺伝的な要因が影響していると考えられていますが、詳しい仕組みはまだ完全には解明されていません。このように、インフルエンザ脳症は、体を守るはずの免疫反応が過剰になった結果として起こる病態です。そのため、発熱後に意識の変化や異常な言動がみられた場合には、早急な医療対応が必要となります。早期発見と迅速な治療が、重症化や後遺症を防ぐために非常に重要です。

どんな人に起こりやすいのか

インフルエンザ脳症は、誰にでも起こり得る合併症ですが、特に発症しやすいとされる人の特徴がいくつか知られています。多くは小児で発症するため、子どもの病気という印象を持たれがちですが、成人でも発症することがあり、注意が必要です。まず最も多いのは、乳幼児から学童期の子どもです。特に5歳以下の小児では、免疫機能や脳の発達が未熟であることから、炎症反応が過剰になりやすいと考えられています。インフルエンザにかかってから発熱後1~2日以内に症状が急激に進行することが多く、保護者が異変に早く気づくことが重要です。次に、これまでに熱性けいれんを起こしたことがある子どもや、けいれんを起こしやすい体質の人も注意が必要とされています。ただし、熱性けいれんがあるからといって必ずインフルエンザ脳症になるわけではありませんが、発熱時の神経症状には特に慎重な対応が求められます。また、基礎疾患を持つ人もリスクが高いとされています。具体的には、神経系の病気、代謝異常、先天性疾患、慢性的な呼吸器疾患などを持つ場合、全身状態が悪化しやすく、重症化の可能性が高まります。一方で、これまで特に病気のなかった健康な子どもが突然発症するケースも少なくありません。そのため、「持病がないから大丈夫」と考えるのは危険です。体質や遺伝的な要因、免疫反応の個人差が関与している可能性も指摘されています。成人では発症頻度は低いものの、高熱が続く場合や、意識障害、異常行動がみられる場合には、年齢に関わらず警戒が必要です。インフルエンザにかかった後、いつもと様子が違うと感じたら、早めに医療機関を受診することが、命を守るために大切です。


診断はどのように行われるか

インフルエンザ脳症の診断は、特定の検査だけで確定できるものではなく、症状や経過、検査結果を総合的に判断して行われます。特に重要なのは、インフルエンザにかかった後、短期間で意識障害やけいれん、異常な言動などの神経症状が出現しているかどうかです。まず、インフルエンザ感染の確認が行われます。迅速抗原検査やPCR検査によって、インフルエンザウイルスへの感染が確認されると、脳症を疑う重要な手がかりとなります。同時に、発症から症状が出るまでの時間経過も診断の参考になります。次に、意識状態や神経学的所見を評価します。呼びかけへの反応、会話の様子、手足の動き、けいれんの有無などを丁寧に確認し、脳の機能に異常がないかを判断します。必要に応じて、頭部CTやMRIといった画像検査が行われます。これにより、脳のむくみ(脳浮腫)や出血、他の脳疾患がないかを確認します。また、血液検査では炎症反応や肝機能、代謝異常の有無などを調べ、重症度の評価や他疾患の除外に役立てます。インフルエンザ脳症は早期診断と迅速な治療が非常に重要です。発熱後に意識の変化やけいれんがみられた場合には、速やかに医療機関を受診することが診断と治療につながります。

治療方法について

インフルエンザ脳症の治療は、原因そのものを直接治す特効薬があるわけではなく、重症化を防ぐための早期対応と全身管理が中心となります。そのため、診断が疑われた時点で速やかに入院治療が行われることが一般的です。まず重要なのは、脳のむくみ(脳浮腫)を抑える治療です。脳浮腫が進行すると意識障害やけいれんが悪化するため、点滴による水分管理や、必要に応じて脳圧を下げる薬剤が使用されます。これにより、脳へのダメージを最小限に抑えることを目指します。けいれんを起こしている場合には、抗けいれん薬が使用されます。けいれんを繰り返すと脳への負担が増すため、早期にコントロールすることが重要です。また、意識障害が強い場合には、集中治療室での管理が必要となることもあります。インフルエンザに対しては、抗インフルエンザ薬が併用されます。これによりウイルスの増殖を抑え、全身状態の悪化を防ぐことが期待されます。ただし、脳症そのものを直接治す薬ではないため、全身管理と並行して行われます。重症例では、人工呼吸管理や循環管理が必要となることもあります。また、炎症反応が強い場合には、免疫反応を抑える治療が検討されることもあります。インフルエンザ脳症は、発症から短時間で症状が進行することがあるため、早期発見と迅速な治療開始が予後を大きく左右します。インフルエンザにかかった後、意識の変化や異常な言動、けいれんがみられた場合には、ためらわずに医療機関を受診することが何より大切です。

後遺症の可能性

インフルエンザ脳症は、適切な治療が行われても、回復後に後遺症が残ることがあります。後遺症の有無や程度は、発症時の重症度や治療開始までの時間、脳へのダメージの大きさによって大きく異なります。代表的な後遺症として、知的発達の遅れや学習障害、記憶力や集中力の低下などが挙げられます。特に小児では、成長とともに問題が明らかになることもあり、就学後に学習面での困難がみられる場合もあります。また、運動機能への影響として、手足の動かしにくさ、歩行の不安定さ、細かい動作がしづらいといった症状が残ることがあります。軽度の場合はリハビリによって改善することもありますが、長期的な支援が必要になることもあります。そのほか、てんかん発作が残るケースや、情緒不安定、性格の変化、睡眠障害などがみられることもあります。これらは日常生活や学校生活に影響を及ぼすため、周囲の理解と継続的なフォローが重要です。一方で、早期に診断され、適切な治療が行われた場合には、後遺症を残さずに回復する例も少なくありません。そのため、インフルエンザ発症後に意識の変化や異常な言動がみられた場合には、速やかに医療機関を受診することが、後遺症を防ぐうえで非常に重要です。

まとめ

インフルエンザ脳症は、まれではありますが、短時間で重症化する可能性のある非常に危険な合併症です。発熱後に意識がはっきりしない、けいれんを起こす、異常な言動がみられるといった場合には、ためらわずに医療機関を受診することが大切です。インフルエンザを単なる風邪と考えず、重症化のサインを見逃さないことが、命を守ることにつながります。

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