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筋肉のぴくつきが止まらないのはALS?原因と受診の目安

太もも、ふくらはぎ、腕などの筋肉がピクピクする現象は、健康な方にも起こります。ピクつきだけでALS(筋萎縮性側索硬化症)とは判断できません。一方、力が入りにくい、筋肉がやせる、話しにくい、飲み込みにくいなどが続く場合は、脳神経内科で原因を評価することが大切です。

目次

筋肉がピクピクするのはなぜ?

皮膚の下で筋肉の一部が細かく動く現象は、筋束攣縮(筋線維束性収縮)と呼ばれることがあります。筋肉全体が痛みを伴って強く縮む「こむら返り」、手足が一定のリズムで揺れる振戦、眠りかけに体が一瞬動く現象などとは異なりますが、ご自身で正確に区別できない場合もあります。

一時的なピクつきは、疲労、睡眠不足、精神的な緊張、カフェインの多量摂取、運動後などにみられることがあります。電解質異常、甲状腺疾患、薬剤、神経や脊髄の病気などが関係する場合もあり、場所や頻度だけで原因を断定することはできません。

筋肉がピクピクする主な原因

  • 疲労、睡眠不足、ストレス
  • 運動後の一時的な筋肉の反応
  • カフェインや一部の薬剤・サプリメントの影響
  • 脱水やカルシウム・マグネシウム・カリウムなどの電解質異常
  • 甲状腺機能など代謝・内分泌の異常
  • 神経根の圧迫、末梢神経疾患、運動ニューロン疾患など

これらは可能性の例であり、ピクつきから原因を一つに決めることはできません。処方薬が関係していると思っても、自己判断で中止せず処方医へ相談してください。

太もも・ふくらはぎがピクピクする原因

太ももやふくらはぎは、運動や長時間の立ち仕事などで負担がかかりやすく、疲労時や運動後に一時的なピクつきが起こる場合があります。片側だけか両側か、安静時にも続くか、痛み・しびれ・筋力低下を伴うかを確認します。

腰椎の病気や神経根の圧迫、電解質異常などでも下肢のピクつきがみられることがあります。太もも・ふくらはぎがピクピクするという場所だけでALSかどうかを判断することはできません。

腕・手や全身がピクピクする場合

腕や手のピクつきにも、疲労、運動後、神経の圧迫などさまざまな原因があります。手に力が入りにくい、物を落とす、ボタンを留めにくい、筋肉がやせてきたなどの変化があるかが重要です。

複数の場所や全身にピクつきを感じても、それだけで特定の病気を意味するわけではありません。急速に広がる筋力低下、歩きにくさ、呼吸・嚥下の異常を伴う場合は、早めの医療評価が必要です。

良性筋束攣縮とは

診察や必要な検査で進行性の神経疾患などが認められず、筋力低下や筋萎縮を伴わない筋束攣縮は、良性と判断されることがあります。ピクつきは健康な方にも起こり、疲労、睡眠不足、ストレス、運動、カフェインなどと関連して増減する場合があります。

「良性」という言葉だけで自己診断はできません。長く続く場合や生活に支障がある場合は、症状の経過と神経学的所見を確認したうえで判断します。

BFS(良性筋束攣縮症候群)とは

BFS(benign fasciculation syndrome、良性筋束攣縮症候群)は、筋束攣縮が繰り返し続く一方で、診察や検査によりALSなどの進行性疾患を示す所見が確認されない状態を指します。診断には、筋力低下・筋萎縮の有無、経過、神経学的診察、必要に応じた検査が重要です。

不安によってピクつきを頻繁に確認すると、症状をより強く意識することもあります。ただし、「心配しているからBFS」「一定期間変化がないから必ず安全」と自己判断せず、気になる変化があれば相談してください。

ALSでみられる筋束攣縮

ALS(筋萎縮性側索硬化症)では筋束攣縮がみられることがありますが、診断で重視されるのはピクつきの回数や場所だけではありません。持続・進行する筋力低下、筋萎縮、腱反射などの神経学的所見、症状の広がり方を合わせて評価します。

ALSの初期には、箸やペンが使いにくい、物を落とす、足が上がりにくくつまずく、ろれつが回りにくい、飲み込みにくいなどが現れる場合があります。ただし、これらの症状は頸椎疾患、末梢神経障害、筋疾患などでも起こり、症状だけでは診断できません。

良性のピクつきとALSの違い

確認する点良性のピクつきでみられる傾向神経疾患の評価が必要になる所見
筋力普段どおり力が入り、動作能力が保たれる物を持てない、つまずくなど実際の筋力低下が進む
筋肉の見た目明らかな筋肉のやせを伴わない左右差のある筋萎縮が進む
経過疲労・睡眠・運動などで増減する場合がある筋力低下などが持続し、別の部位へ広がる
ほかの症状ピクつきが中心話しにくさ、飲み込みにくさ、呼吸のしづらさなどを伴う

この表は一般的な目安で、個人の診断には使えません。ピクつきが良性か、ALSを含む神経疾患によるものかは、診察と必要な検査を踏まえて判断します。

ALSを疑うのはどのような症状?

  • 手足に実際の筋力低下があり、徐々に進行する
  • 手や足などの筋肉が左右非対称にやせてくる
  • つまずきが増えた、細かな手作業が難しくなった
  • ろれつが回りにくい、声が出しにくい
  • 飲み込みにくい、むせることが増えた
  • 息苦しさや、横になると呼吸しづらい症状がある

一つ当てはまるだけでALSという意味ではありません。逆に、インターネット上の自己チェックでALSを否定することもできません。治療可能な別の病気を見逃さないためにも、経過を含めて評価します。

筋肉のピクつきは何科を受診する?

筋肉のピクつきが続く、筋力低下や筋萎縮を伴う、原因が分からず不安が強い場合は、脳神経内科が主な相談先です。ピクつきとともにしびれや首・腰から手足へ広がる痛みがある場合は、脊椎や末梢神経の評価が必要になることもあります。

急速に手足の力が入りにくくなる場合は、ALS以外にギラン・バレー症候群など緊急の評価を要する病気もあります。急な症状では通常外来を待たず、救急受診を検討してください。

病院で行う診察・検査

問診と神経学的診察

始まった時期、部位、頻度、運動との関係、服薬、筋力低下・しびれの有無などを確認します。診察では筋力、筋萎縮、腱反射、感覚、歩行などを評価します。スマートフォンで撮影した症状の動画が参考になる場合もあります。

血液検査

症状に応じて、電解質、甲状腺機能、栄養・代謝に関する項目、筋肉由来の酵素などを検討します。すべての方に同じ検査を行うものではありません。

筋電図・神経伝導検査、画像検査

神経疾患が疑われる場合は、針筋電図や神経伝導検査が必要になることがあります。筋電図だけでALSを100%確定・否定できるわけではなく、症状、診察、ほかの検査と合わせて判断します。当院で実施できない専門検査が必要な場合は、検査・診断が可能な医療機関へ紹介します。

MRIやCTはピクつきそのものを写す検査ではありません。脳・脊髄や神経根など別の原因が疑われる場合に、診察所見から必要性を判断します。

早めに受診した方がよい症状

  • ピクつきが長く続く、頻度や範囲が増えている
  • 力が入りにくい、筋肉がやせる、歩きにくい
  • しびれ、痛み、感覚低下を伴う
  • ろれつが回りにくい、飲み込みにくい、むせる
  • 症状への不安が強く、日常生活や睡眠に影響している

急速に進む筋力低下、呼吸困難、唾液も飲み込めないほどの嚥下障害、意識状態の変化がある場合は、早急な医療評価が必要です。

西新宿今野クリニックでの診療

当院では、筋肉のピクつきに加えて筋力低下、筋萎縮、しびれなどがないかを脳神経内科で確認します。症状と神経学的診察を踏まえ、必要な血液検査や画像検査を検討します。

ALSそのものの症状・診断・治療についてはALSの疾患ページをご覧ください。針筋電図などの専門検査や高度な神経筋疾患診療が必要な場合は、対応可能な医療機関と連携します。

まとめ

太もも、ふくらはぎ、腕などの筋肉のピクつきは健康な方にも起こり、ピクつきだけでALSとは判断できません。疲労や睡眠不足などで一時的に起こる場合やBFSもありますが、筋力低下、筋萎縮、話しにくさ、飲み込みにくさを伴う場合は、脳神経内科で評価を受けてください。

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