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リメゲパントとは?―片頭痛治療の新たな選択肢―脳神経内科医が解説|西新宿今野クリニック

片頭痛は、日常生活に大きな支障をきたすことがある神経疾患です。拍動性とは限らず、吐き気・嘔吐、光や音への過敏などを伴う場合があります。リメゲパントはCGRP受容体を阻害する経口薬で、日本では片頭痛発作の急性期治療と発症抑制の両方に承認・薬価収載されています。ただし、片頭痛の診断と患者背景、併用薬を確認した上で医師が使用を判断する処方箋医薬品であり、すべての頭痛や患者さんに適する薬ではありません。

国内での位置づけ:ナルティークOD錠75mg(一般名:リメゲパント硫酸塩水和物)は2025年9月19日に国内承認され、同年11月12日に薬価収載、12月に販売開始となりました。効能・効果は「片頭痛発作の急性期治療及び発症抑制」です。新医薬品の投薬期間制限により、2026年11月末までは1回14日分が上限です。当院で常時在庫・処方していることを示す案内ではありません。

片頭痛とCGRPの関係

片頭痛には三叉神経血管系、脳内の痛み処理、遺伝的素因など複数の仕組みが関わり、単純に血管が広がるだけで起こる頭痛ではありません。CGRP(カルシトニン遺伝子関連ペプチド)は病態に関与すると考えられる神経ペプチドの一つですが、血中濃度や血管拡張だけで片頭痛全体を説明したり、個人の診断を確定したりすることはできません。

片頭痛は、国際頭痛学会の基準などに基づき、発作の持続時間、痛みの特徴、随伴症状、経過を確認し、必要に応じて二次性頭痛を除外して診断します。緊張型頭痛や、別の病気に伴う頭痛へ使用する薬ではありません。

リメゲパントの作用機序

リメゲパントは経口CGRP受容体拮抗薬で、CGRPが受容体へ結合するのを阻害します。CGRP自体の産生・分泌を止める薬ではなく、「炎症性メディエーターの放出を抑えて病態を直接治す」「発作が起こらない状態を作る」と断定できるものでもありません。トリプタンとは作用機序が異なりますが、血管収縮作用を主作用としないことだけを根拠に、心血管疾患のある方全員で安全・適切とは判断できません。

リメゲパントの臨床効果

国内承認では、片頭痛発作時の急性期治療と、発作回数を減らす発症抑制の2つが認められています。治療効果には個人差があり、トリプタンが効かなかった方に必ず効く、従来薬より一律に優れるという意味ではありません。診断、過去の治療効果、副作用、発作頻度、併用薬を踏まえて選択します。詳しい治療全体は片頭痛の治療薬もご確認ください。

急性期治療としての効果

国内第II/III相試験では、片頭痛発作時に75mgを単回投与し、2時間後の頭痛消失と最もつらい随伴症状の消失についてプラセボとの差が確認されました。服用時期は処方時の指示に従い、効かないからと同じ日に追加服用してはいけません。診断が不明な頭痛や、いつもと異なる頭痛を薬で様子見ることも避けてください。

予防効果について

国内第III相試験では75mgを隔日投与し、月間片頭痛日数の減少についてプラセボとの差が確認されました。国内添付文書では、月に複数回以上の発作または慢性片頭痛があり、適切な非薬物療法や急性期治療を行っても日常生活に支障がある場合に適用を考慮します。開始後3カ月を目安に有益性を評価し、その後も漫然と続けず、継続の必要性を定期的に検討します。

用法・用量

  • 急性期治療:成人は片頭痛発作時にリメゲパント75mgを1回経口投与します。
  • 発症抑制:成人はリメゲパント75mgを隔日で経口投与します。
  • 共通上限:1日あたりの総投与量は75mgを超えません。急性期治療でも24時間以内に追加服用せず、発症抑制として服用した日に発作が起きても追加しません。

発症抑制中に発作が起きた場合の服用計画は、1日総量75mgを守り、処方医の指示に従ってください。自己判断で隔日投与を毎日にしたり、急性期分を重ねたりしないでください。国内添付文書には米国NURTEC ODTの「30日間に18回を超える投与の安全性は確立していない」という記載と同一の回数上限はなく、この米国情報を国内の正式な用法として置き換えることはできません。

副作用と安全性

国内添付文書では悪心、便秘、下痢、腹痛、腹部不快感などが報告されています。重大な副作用として、呼吸困難や発疹などの過敏症(アナフィラキシーを含む)があり、投与から数日後に遅れて現れることもあります。異常があれば追加服用せず、医療機関へ相談してください。「副作用が少ない」「心血管疾患があっても安全」と一律にはいえません。

国内添付文書では高血圧・潮紅も副作用として記載されています。高血圧、虚血性心疾患、脳血管障害などがある方は、病状とほかの薬を含めて医師が判断します。レイノー現象は米国添付文書で警告されていますが、これを日本の正式な禁忌と読み替えることはできません。指先の色調変化、冷感、痛みなどが現れた場合は医療者へ相談してください。

末期腎不全(eGFR 15mL/min/1.73m²未満)や重度肝機能障害では投与を避けることが望ましいとされ、中等度以上の腎・肝機能障害でも曝露量上昇に注意します。妊娠中は有益性が危険性を上回る場合に限り、授乳中は治療と授乳の有益性を考慮して継続・中止を検討します。

薬物相互作用の注意点

リメゲパントはP-gpの基質で、主にCYP3A4、一部CYP2C9で代謝されます。強いCYP3A4阻害薬との併用は避けることが望ましく、中程度の阻害薬やP-gp阻害薬では血中濃度上昇、強い・中程度のCYP3A4誘導薬では効果減弱のおそれがあります。処方薬、市販薬、サプリメント、セント・ジョーンズ・ワートを含めて医師・薬剤師へ伝えてください。

他のCGRP関連薬との併用については有効性・安全性データに限界があり、自己判断で重ねて使用しないでください。急性期治療薬を使う日が増えた場合は、薬剤の使用過多による頭痛を含めて診断と治療計画を見直します。「リメゲパントなら薬物乱用頭痛を起こさない」とは断定できません。

どのような患者に適しているか

前兆のある、または前兆のない片頭痛と診断された成人で、発作時治療または発症抑制が必要な場合に検討されます。トリプタンの効果が不十分、使用できない、または副作用が問題になる場合に選択肢となることはありますが、自動的にリメゲパントが適するわけではありません。重い心血管疾患を持つ患者が臨床試験から除外されている場合もあり、持病、発作頻度、腎・肝機能、妊娠、併用薬を個別に評価します。

患者さんが知っておくべきポイント

いつもの片頭痛か、危険な二次性頭痛かを見分けることが先決です。突然始まり短時間で最も強くなった頭痛、経験したことのない激痛、ろれつが回らない、片側の麻痺・しびれ、複視、意識状態の変化、けいれん、発熱と首の硬さ、頭部外傷後、妊娠中・産後の急な強い頭痛、急速な悪化がある場合は、リメゲパントを飲んで様子を見ないでください。

まとめ

リメゲパントは、日本で片頭痛発作の急性期治療と発症抑制に承認された経口CGRP受容体拮抗薬です。急性期は75mgを発作時に1回、発症抑制は75mgを隔日で服用し、1日総量75mgを超えません。効果と安全性には個人差があり、用量・間隔を自己判断で変更せず、過敏症、腎・肝機能、妊娠・授乳、相互作用を確認して使用します。

当院の頭痛外来脳神経内科では、頭痛の経過、随伴症状、服薬歴などを確認し、片頭痛と二次性頭痛の鑑別を行います。緊急性のある頭痛が疑われる場合は、画像検査や緊急治療が可能な医療機関へ速やかに紹介します。当院内でMRI・CTを実施する、またはナルティークを常時在庫・処方しているという案内ではありません。

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