メニュー
西新宿今野クリニックの電話番号:03-3371-5813、休診日:日祝、水曜午後、土曜午後・第2・第4土曜日は休診

訪問診療をご契約中の患者様は、24時間365日の電話相談に対応しています。一般外来のお問い合わせは診療時間内にお願いします。

西新宿今野クリニック・内科・発熱外来・脳神経内科・整形外科

サイトメガロウイルス治療薬のマリバビルとは?内科医が解説|西新宿今野クリニック

サイトメガロウイルス(CMV)はヘルペスウイルス科のウイルスで、多くの人が生涯のうちに感染します。健康な人では無症状または軽い症状で終わることが多く、感染後は体内に潜伏します。一方、臓器移植・造血幹細胞移植後、血液疾患治療中、強い免疫抑制治療中では再活性化し、重い臓器障害を起こすことがあります。

CMV感染とCMV感染症の違い

CMV感染、血中でウイルスDNAが検出されるCMV DNA血症、症状や臓器障害を伴うCMV感染症は同じ意味ではありません。抗体陽性だけで活動性感染や治療の必要性は判断できません。妊娠中の初感染・胎児感染は、移植後CMV感染症とは異なる診療領域です。

マリバビル(リブテンシティ)とは

マリバビルはCMVのUL97プロテインキナーゼを阻害する抗ウイルス薬です。国内での効能・効果は「臓器移植(造血幹細胞移植も含む)における既存の抗サイトメガロウイルス療法に難治性のサイトメガロウイルス感染症」です。既存治療の効果が不十分な成人に検討される薬で、一般的な初感染、健康な人の無症候性感染、予防目的、移植後の一律の第一選択薬ではありません。

作用機序と耐性

ガンシクロビル・バルガンシクロビル、ホスカルネット、シドフォビルとは作用機序が異なります。しかし耐性CMVに必ず有効とは限らず、治療中・治療後にUL97変異による耐性や再燃が起こり得ます。マリバビル耐性変異がガンシクロビル等への交差耐性につながる場合もあり、CMV DNA量などの継続的な監視が必要です。

SOLSTICE試験

造血幹細胞移植または臓器移植後に、既存治療へ抵抗性を示した成人352人を対象とする非盲検第3相試験です。マリバビル群と、治験担当医が選択したガンシクロビル/バルガンシクロビル、ホスカルネット、シドフォビルの治療群を比較しました。8週時点のCMV血症消失は55.7%(131/235人)対23.9%(28/117人)でした。一方、8週時点の消失と症状管理を16週まで維持した割合は18.7%対10.3%です。ウイルス量の消失を治癒、死亡率改善、再発防止と同一視できず、一般のCMV感染へ結果を広げることもできません。

用法・用量

国内添付文書では1錠200mgで、成人は1回400mg(2錠)を1日2回経口投与します。添付文書は一律の治療期間を定めておらず、臨床試験では8週間投与されました。食事の有無にかかわらず服用できます。飲み忘れや治療期間は処方医の指示を優先し、自己判断で追加服用、開始・中止・増減しないでください。小児の臨床試験成績は得られていません。重度肝障害では曝露増加のおそれがあります。

強い・中程度のCYP3A4誘導薬は原則併用を避けます。避けられない場合に添付文書上は1回1,200mgまでの増量が考慮されますが、専門医が相互作用と治療歴を確認して判断する内容であり、患者さんが調整するものではありません。

副作用・相互作用

味覚障害、悪心、嘔吐、下痢、疲労、食欲不振などがあります。ガンシクロビル・バルガンシクロビルはUL97を介した活性化を妨げるため併用禁忌です。リファンピシンとセント・ジョーンズ・ワート含有食品も併用禁忌です。タクロリムス、シクロスポリン、シロリムス、エベロリムスやジゴキシンなどは血中濃度が上昇する可能性があり、特に開始・中止後の血中濃度監視と専門医による調整が必要です。

臓器障害と治療の限界

CMVは肺炎、腸炎などを起こし得ますが、病変部位と重症度を踏まえた専門的評価が必要です。中枢神経系CMV感染症とCMV網膜炎に対するマリバビルの有効性・安全性は国内添付文書で検討されておらず、すべての臓器障害へ同様に有効とはいえません。

受診の目安

移植後・免疫抑制治療中に、発熱や微熱、強い倦怠感、咳、息苦しさ、下痢、腹痛、血便、視力低下、かすみ目、意識変化、けいれん、吐き気・嘔吐で水分が取れない、急速な悪化がある場合は、移植医療機関へ速やかに連絡してください。強い呼吸困難、意識障害、けいれん、急激な視力低下では通常外来を待たず救急対応を検討します。健康な方の一般的な風邪症状だけでCMVを過度に疑う必要はありません。

西新宿今野クリニックへ相談される方へ

臓器移植・造血幹細胞移植後、または免疫抑制治療中の方は、まず担当する移植医療機関・専門診療科へ連絡してください。当院を受診された場合も重症度と治療歴を確認し、専門的検査・治療が必要なら対応可能な医療機関へ紹介します。当院でCMV DNA定量・耐性検査、移植後CMV治療、マリバビル導入や免疫抑制薬の専門的血中濃度管理を行っているという意味ではありません。一般的な相談は内科、感染症症状が続く場合の受診方法は発熱外来をご確認ください。

まとめ

マリバビルは、移植後に既存の抗CMV療法で効果不十分な成人のCMV感染症へ専門的管理下で用いる薬です。一般のCMV感染や予防に一律に使う薬ではなく、再燃、耐性、相互作用を含めて継続評価が必要です。

参考情報

よかったらシェアしてください!
  • URLをコピーしました!
目次